第3話 世界の終わりの始まり

「あーやれやれだ」


 奈菜さんが汗だくで帰ってくる。


「どうしたのですか?」


 養護教員にスマホで写真を撮られて、それを回収する為に走ったのだ。何故、養護教員が奈菜さんのバニーガール姿を撮ったのだ?


 俺が小首を傾げていると。


「そうなのだ!わたしが可愛くてたまらないのだ」


 まま、確かに奈菜さんの見た目は可愛いが消して中身とは一致しない。


「とにかく、着替えて下さい」


 綾乃さんが奈菜さんをロッカールームに連れて行く。


 また、部室のドアが開く、今度はなんだ?


「お久しぶりです、部長の真華です。今日は新入部員への挨拶と重要な事柄がありまして」

「あ、新入部員の香苗です」


 もう嫌だ、この名前は説明が必要なのだ。


 俺が落ち込んでいると。


「大丈夫です、事前に聞いています」


 どうやら、俺の気持ち察してくれたらしい。ふう~俺はひと安心する。綾乃さんと奈菜さんがロッカールームにから戻ってくると。


「皆さん、集まりましたね。これから緊急会議です」


 そう言って、机に皆が座ると。


「ここ数カ月で世界の終わりが確認されました」


 は……?


「世界の終わり?」


 この部長はアメリアかロシアの諜報部員か?世界の終わりと言えば核戦争であるが。


「今日、弓道部の建て替えで不発弾が発掘されました」


 あ、時々ある不発弾処理で近所まで立ち入り禁止になるやつね。


「この不発弾は未知の科学で作られたモノで、解析では爆発すれば世界が終わるのです」


 ……。


 少し息を飲むと、嫌な汗が出る。そう、真華先輩は真剣であった。


***


 俺は放課後、屋上で空眺めていた。黄昏が支配して世界は夕闇に成りつつあった。


 世界の終わりか……。


 実感無いなー。


 すると、綾乃さんが屋上に入ってきて横に座る。


「この世界の終わりに、何がしたい?」


 綾乃さんの言葉はまるで無人島に一つだけ何を持っていくかだ。


「そうですね、恋がしたいですね」


 その言葉に綾乃さんは頬を赤らめ。そして、恥ずかしそうに話し始める。


「ねえ、好きな人は居る?」


 直球ストレートだ。これは告白か?俺は胸が熱くなり、緊張感はマックスである。


「い、い、居ませんけど」

「そっか……」


 それで終わり?俺が落胆してしると。


「世界が終わりになったら死にたいとか言ってなかった」


 俺のバカ、何で俺の秘密を話したのだ。確かにこの世界は何もかも嫌な事ばかりだ。

 それでも綾乃さん出会えて生きる意味を知った。


 でも、それは依存した恋だ、失えばそれなりの代償を払る事になる。


 俺は強く成りたかった。告白を待つのではなく、自分から胸を張って告白したいと。

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