第4話 二人なら怖くない
「あ、ここに居たか、そろそろ下校時間だ」
文学部の顧問、宮前先生だ。
「宮前先生も世界の終わりの事を知っていますか?」
「ああ、不発弾の事か、知っているのはごく一部の教員と生徒会長だけだ。しかし、文学部には手伝って欲しいので明かしたのだ」
俺たちが手伝うこと?
「アメリカ軍がやって来るのでその通訳だ」
あああぁぁぁ、ここで英語?一番苦手な科目だ。しかし、俺と違って、生徒会長の真華先輩は成績も学年トップ、それに続いて綾乃さんも英語はネイティブである。
奈菜さんは……。
きっと戦力になるから選ばれたのであろう。
宮前先生から世界の終わりの事を聞くと実感が出てきた。
しかし、不発弾一つで世界の終わりとか大げさでないのかな。
「その顔まだ信じていないのね。ドラ〇もんの地球破壊爆弾は実在するの。強力な核兵器はその威力で地球の気候を一変させて人類は滅ぶわ」
今の時代の核兵器は恐竜を滅ぼした隕石レベルなのか……。
で、アメリカ軍が来ると言うことは戦中の兵器なのか?
宮前先生に問うと。
「イヤ、時代は不明で不発弾と言っても形状から爆弾らしいとしいとか分からないのだ」
恐竜の卵だったりして、それとも宇宙人か?
「とにかく、遅くなる、家に帰れ」
俺はへいへいと言って帰宅するのであった。
その夜、俺は少し不機嫌でいた。文学部の入部書類にメールアドレスを記入したが。奈菜さんからの画像添付メールばかり届く。
内容はバニーガール姿である。赤とか黒とか、更にはタイツの網の目の大きさなど様々モノであった。これが綾乃さんであれば文句も出まい。
確かにメールアドレスを書く時に他の部員にも明かしていいかと注意書に良いと丸を付けた。
また、メールだ、ここはブロック設定にするか?よく、見ると、綾乃さんからだ。
『ごめんなさい、世界の終わりとかに巻き込んでしまって』
素直な謝罪に気持ちが緩む。この場合、世界の終わりではなく、奈菜さんの対応に不満がある。
とにかく、心を寄せる人からのメールだ、返事に困るが出さねば。
え……と……『茹で過ぎたうどんの様な人生からは出られました』
これで良いのか?かなり疑問に思う。
しかし、真実だ。授業をエスケープして、誰もいない屋上で空を眺めているよりは刺激的である。
ここは『綾乃さんがいれば世界の終わりなど怖くないです』にしよう。
送信と……。
『ありがとう、香苗君は優しいね』
あああ、女子の名前で嬉しさが半減した。慣れている事とはいえ、もどかしいな。
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