第11話 耳をふさぐ。
「こんにちは、万理望さん、今日はお別れにきました。おばあちゃんはいますか? 」
「え? ....お、おばあちゃんですか? 」
今、
いったい何を言っているのだろう?
奥の部屋からおばあちゃんを連れてくると、美澄さんはおばあちゃんにお礼の言葉をいっていた。
おばあちゃんは女性の手をなでながら『優香ちゃんも元気そうだね』と言っている。
しかし女性の反応は鈍くゆっくりとおばあちゃんを見るだけだった。
「万理望さん、あなたにもお世話になりました 」
「はい。 ....あのどこかに行っちゃうってことですか? 」
「はい 」
「どこへ? 」
「 ..静岡の方へ 」
「どなたですか? この方は? 」
「僕の婚約者です 」
私は店から飛び出してしまった。
もうそれ以上は聞きたくなかった。
商店街を思いっ切り走り抜けた。
そして小川のほとりで.. ただ泣いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます