第87話 息子たちの育児 第3章 8
幼稚園と療育センターの掛け持ち通園に慣れてきたかと聞かれたら、こう答える。
「慣れるかーあ!むり!」
療育センターのママさんたちに幼稚園も一緒に通園していると伝えた時、みんなの顔はこの世の終わりのようだった。
若くに出産をしてさぞ体力はあるように思われがちだが全くそんなことはない。
「どっこらしょー!!やるかぁ!」と気合いを入れないとソファーから立ち上がる気力も体力も湧き上がらない。
自分自身の全てを子供に捧げている今、何かしらの気分転換をしないとどこかのタイミングで何かのきっかけで糸が切れそうだった。
「あ!髪!今みたいな明るい髪が似合ってるから髪色を変えるのはどう?」
「いいじゃん!ピンクとか似合いそう!」
「確かに!ピンク良いよ!」
「雰囲気とか声とか、もはやピンクだね!」
……いやらしいピンクに聞こえる。
和室で私の髪色について盛り上がる。
実は美容院にはまだ行けていない。
長男を出産する前に結構バッサリと切ったのでそこからカットはしておらず、カラーは自宅で市販を使い簡単にセルフカラーをしていた。
本当は色を調合して好きな色にしたい。
美容院などに行けなくなった経緯も含めその事を話したらビックリされた。
「えー!!自分で染めてたの!!」
「だってブリーチしてるでしょ!?」
「めちゃくちゃ綺麗な色だし!」
「この色自分で出来るの!?すご!!」
「じゃあ調合で色んなピンクも出来る!?」
真っ白以外の色なら自分で出来ると思うと言ったら、リクエストをされた。
子供の世話をしながらは染められないのでカツオが休みの日に洗面台を占拠する。
一応、ピンク色にすることを事前に伝えたら
「おー、いいじゃーん」
と、言っても言わなくても良かったような返事が返ってきた。
ちなみにカツオはカツオ君みたいな髪型だ。
……本人的にはお洒落ボウズらしい。
ひとえにピンクといっても色々ある。
頭に浮かんだピンクヘアーはガンダムSEEDに出てくる【ラクス】とコードギアスに出てくる【ユフィ】というヒロインキャラ。
ユフィピンクが色落ちしたらラクスピンクになりそうなのでユフィをイメージして調合する。
途中、頭にサランラップを巻いて登場してみたら長男と次男にウケたようだ。
数時間かけてピンクヘアーが出来上がった。
「ママかわいいー!」
……長男、あとでお菓子たくさん買おうな。
こうしてピンクヘアーになった私が幼稚園に登園したところ、園児たちの絶好の餌になった。
明るい髪の人はそれなりに居るがピンクの人はこの地域では見かけない。
……外で変なこと出来ないな。(しないけど!)
「次男くんのママ、プリキュアみたい!」
……ジェネレーションギャップ。
ピンクは色持ちが悪いのでピンクシャンプーと調合したカラートリートメントをストックしてあるので数ヶ月はピンクを維持できるようにしてある。
「これつけたらピンクになっちゃう?」
お風呂で長男が聞いてきた。
「黒にピンク色を混ぜてもピンク色にならないように、長男の髪にこのピンク色を塗っても色は変わらないんだよ」と説明する。
ちょっとハテナ顔だったので「今度、絵の具でお絵描きしながら試してみようね」と言った。
療育センターでバスに乗り込んだ瞬間、何故か歓声が上がる。同じバスの保護者さんとも自然と話すようになるのでピンクヘアーの話になり
クラスに着いた時も歓声が上がった。
「すごー!本当に綺麗にピンク色!」
「自分でやったの!?」
「えー!器用すぎるじゃん!」
「私の白髪染めもやってよ!」
「めちゃくちゃ似合う!」
「私もあと10歳若ければいけたかなー!」
……朝からとても賑やかである。
髪色を変えたら少し気分が高揚した。
自分のことに時間をかけるのが久しぶりだったので、それもまた良かったのかもしれない。
少しして実家に遊びに帰ったらいい歳してと家族から白い目で見られたのであったが、母は私のセルフカラーに目をつけてその後実家に帰る度に白髪染めをさせられることになった。
仕事から帰ってきた兄からは【ピグモン】という愛称をいただき、ご丁寧にも連絡先の私の名前をピグモンに変えやがってくださった。
これは【ラクス】と【ユフィ】だと説明したら鼻で笑われた。
……ピグモンで結構ですぅーーー。
……てかピグモンって赤色っぽいし!!
こうしてピグモン一派は実家でのんびり過ごし
また慌ただしい日々に戻るのであった。
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