第81話 息子たちの育児 第3章 2
……育児で過労死って有り得るんじゃ、、、。
今日は火曜日。
療育センターの通園日だ。
【私の足で】5分くらいの所にあるバス停に
送迎バスが迎えに来る。
自立に向けた教育なのでバギーは使わない。
長男を幼稚園に送ったあとヨボヨボ、間違えたヨチヨチを煽るようにして手を繋ぎバス停に向かう。
うちが1番最後のバス地点なので乗った時には同じコースの他の親子で満席になっている。
「次男くーん!おはよー!」
今のところニコニコヘラヘラ陽気だけが取り柄の次男は先生と親御さんから人気だ。
1クラスに生徒は6人。
担任の先生が1人と補助の先生が1人、どのクラスも6人に対して2人の先生が必ず配置される。
6人の子供には母親もしくは父親が必ず一緒に登園することになっている。
印象としては自閉症スペクトラムの子が多い。ここの療育センターは過去に1度だけウィリアムズ症候群の子を受け入れたことがあると言っていた。何年ぶりかはわからない。
今居る先生たちは初めての受け入れになる。
私のクラスにはお兄ちゃんも自閉症で療育センターに通っており、兄弟でプログラムに参加しているお母さんがいた。
でもそのお母さんはとっっても明るい!いつもアハハハっと笑っていてポジティブで否定的なことを一切言わない。
だからそのママさんはママさん達から人気だった。私もそのお母さんと同じクラスになったことで育児に対する考えが柔軟になったと思う。
自閉症スペクトラムの子は性格や特徴をいっしょくたんにされがちだが、全然違う。
健常者の子達より様々な個性がある。
療育センターでは【言葉】だけでは伝わらない子供たちに合わせて【目】で理解できるように
1日のスケジュールをウォールポケットに入れられた【絵】で次にやることを教えていく。
朝のご挨拶諸々を終えた。
次は【お着替え】の絵のターンになった。
お着替えの次のターンに【お絵描き】の絵。
指定の体操着は無いので汚れてもいい服をお着替えの練習の為に持って行っている。
このお着替えの時間はひっちゃかめっちゃか。
誰しもが前も後ろも表も裏も分かっちゃいねぇので、つい手を出したくなるができる限り自分でできるように親はなるべく手を出さない。
先生たちが補助をする。
その先生たちの補助の仕方を見て親は学ぶ。
私たちはある程度【仕方ない】と割り切って子育てをしているが、誰よりも【将来】を案じている。だって順番でいけば私たち親が先に死ぬのだ。ある程度は【自立】できるようになってほしいと皆が願い、一生懸命になる。
障害児をもたなかったら気付けなかったことや学んだ事がたくさんある。ここは学びの場。
でも、疲れるの。本当に。
クラスのほとんどの子が偏食もち。
白米しか食べない子もいる。
アレルギー持ちは珍しく次男だけだった。
何がキッカケか分からないけど、急に叫んで機嫌が悪くなってお母さんの髪の毛を引っ張ったり自分の頭を叩く自傷行為をする子もいる。
そういうときはすかさず先生が間に入る。
根気よく、根気よく、お話をする。
どのように声掛けをするのか、どのように髪の毛から手を離させるのか、先生の一挙手一投足が私たち親全員の学びである。
お昼ご飯の後【親の休み時間】がある。
親と離れて室内広場で遊ぶ自由時間ももちろん教育の一環なのだが、持ち合ったお菓子などを食べられる和室で私たちは談笑する。
障害児をもつと気軽に親に預けて出かけるということはほぼ出来ない。
【いつもと違う】ということが受け入れられないこの子たちはパニックになる。
だから24時間365日付きっきりだ。
この親の休み時間にどれ程の人が救われたのだろうか。
子供の個性は違えど悩みの根底は同じ。
それを分かっているから、子供の話だけじゃなく親個人の話も積極的にする。
子供の話ばかりしていたら気が滅入るわ。
この時間だけはあっという間に終わる。
午後のプログラムを追えて、帰る支度をする。
自家用車の人とバス利用の人で別れる。
私たちは黄色いバスに乗り、朝乗った場所まで送って貰う。そのバスの中で毎回2人して爆睡し降りる直前で先生に起こしてもらう。
脳みそ停止状態で長男のお迎えに向かう。
療育センターの日はお迎えが間に合わないので
少しだけ延長保育を利用する。
スーパーマーケットに寄る。
……何も作りたくない。簡単なものがいい。
「鮭のホイル焼きでいい?」と長男に聞く。
「うん!」
家に着き手洗いうがいをして着替えさせてとりあえず自由に遊んでもらう。
洗濯物を取り込んで畳んで仕舞う。
お風呂を洗ってお湯をはる。
鮭の切り身に骨がないか確認する。
野菜ときのこと一緒にアルミホイルに包む。
あとは蒸すだけの状態にしてご飯を炊く。
たまに長男が遊び疲れて寝てしまっていることがあり、そうすると大変だ。
寝過ぎると夜に眠れなくなるので、少ししたら起こしにかかるのだが寝起きの機嫌がすこぶる悪く大抵はぐずって泣く。
おねしょのオマケがついてくることもある。
オマケをしたことに本人が気付くと恥ずかしさで余計にくずり泣く。私がその姿を動画におさめようとすると「どっぢゃだめぇぁぇぇ」と、更に泣くので面白くて撮ってしまう。
お風呂用のおもちゃでたっぷり遊びフルチンでプラレールを出そうとするのを阻止して、パジャマを着せる。
夕食を食べてデザートに自家製シャーベットで〆て歯磨きをする。
時間によってはこれくらいにカツオが帰ってきたりする。
幼稚園であったことをお話したり再びおもちゃをひっくり返し始めて片付けろーと怒られ布団を敷いてカツオのご飯を用意してそろそろ寝なさいーと言うと逆にはしゃぎ始めていい加減にしろーと怒りしばらくするとやっと静かな時間が訪れる。
明日は幼稚園の日。
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