第78話 立ち上がれ~次男~君よ~叫べ~
うず巻く血潮を燃やした結果、次男が立った。
いや、血潮を燃やしたのは私の方か。
2歳10ヶ月。
両手を繋ぎながら私は後ろ向きに歩き歩行の補助をする。いい感じの頃合で手を離したいのだがギュゥゥっと握ってくるので離せない。
長男に応援をしてもらう。
するとクローゼットから沢山のオーディエンスを呼び出し「がんばれ~!」と叫ぶ。
今叫んだのはチョウチンアンコウ君らしい。
one more time。(脳内ではネイティブ発音)
無理くり手を離す。
ゆらっ よろっ ふらっ てくってくってくっ
1歩!2歩!3歩!歩いたぁーーー!!!
今この家ではオリンピックが開催されている!
実況と解説を兼任するは母の私!
オーディエンスの歓声も最高潮だ!
絶滅したハズの恐竜も雄叫びをあげている!
one more time!(脳内ではネイティブ発音)
また!また3歩!歩いたぁーーー!!!
これはもうひとり歩きをした事実だ!
急いで動画を撮る。
長男はアンパンマンカーに乗って余裕の煽り運転をしている!
……な、な、長かった、、、。
1歳頃で歩くところほぼ3歳までかかった。
学習遅延はまだ分からないが身体の発達はどうやら通常に比べ2年程の遅れのようだ。
やっと前歯も生えてきたし。
次回の定期検診で問題が無ければ胸骨のコルセットも外せるようになる。
また入園説明会などの準備が始まる。
でも私はクラス委員。
幼稚園の先生や園長、理事長は次男をとても可愛がってくれるし発達遅延のことも気にかけてくれる。
保育園の方が良いのかもしれないが私は働いていないので入園が難しいし、ここの幼稚園は事前に申し込めば別料金がかかるが19時までの延長保育がある。
だから働くママさんが割と多い幼稚園だ。
教えてもらった療育センターにも電話相談済みである。入園前に知育テストなどを受けに行き必要であれば療育手帳の発行や療育センターへの通園が可能となる。
やる事はまだまだ山積みであるが、遅くても少しずつでも成長していることを実感する。
こども医療センターの循環器内科で幼稚園での生活について相談した。
と、いうのもうちの幼稚園は毎年1月にマラソン大会がある。坂も多くたぶん1キロくらいの距離だと思う。運動会に関しては年少クラスはほぼダンスがメインのようなものなのでそこまで運動量があるわけではない。心臓のスタミナや、普段の園生活で気をつけることがあるか、もしも何か体に異変があったらどうしたら良いかなどを確認した。
胸骨コルセットはもう外して大丈夫。
でも一応手元に置いておく。
運動制限も今の状態なら特に無しで大丈夫。
それを入園説明会で理事長に伝える。
ただ、やはりまだ長男のようにしっかりとした足取りで歩ける訳では無い。子供同士の接触が起きたら十中八九うちの次男が倒れる。
安全面を考慮し、次男と一緒に登園するということになった。園としても何かあった時に面倒は御免だと思う。
制服と体操着のサイズ合わせに向かう。
1番小さいサイズの100センチがダボダボ。
体操着はゴムを入れ替えればズボンは落ちてこなさそうだが、制服は無理だ。
理事長に相談したら、料金が高くなるが80センチで作れることになった。
……使う生地少ないのに料金割高、、、。
……パターンから作るから仕方ないんだけど。
80センチが小さくなる頃には長男が卒園するのでお下がりでいいだろう。
さすがに靴下は小さいものが作れない。家に帰ってから長男のエンブレムが刺繍されている指定の靴下を履かせてみたらルーズソックスになってしまった。ローファーもサイズが無いので特別に自分で買ったもので了承を得た。
そういえば、私も足が小さすぎて園指定のローファーが履けずお店を探し回ってやっと買えたと母が言っていた。普通のローファーにすればいいのにわざわざサイズの合った【可愛い】物を探したらしい。
……履けりゃ何でもいいよ。
こうして出来上がった特注の制服を着て写真館に向かう。帽子が大きすぎて顔が隠れてしまうので、敢えて帽子を親指で抑えているポーズがめちゃくちゃ可愛い。
靴下の踵部分がローファーから出てきてしまうのでグィっと入れ込んでおいた。
せっかくなので長男も参加して撮る。
可愛いすぎて今回も予算オーバーだが可愛いには代えられない。
キーホルダーも多めに発注をしないとな。
可愛いのアルバムが増えてルンルンだが、今度は療育センターに行かねばならない。
最寄りの駅までバスで出てから電車で2駅。
お迎えが遅くなるので長男は預かり保育をお願いしてある。
療育センターに着いて、問診をしたり検査をしたり行動観察などをされた。
次男には療育手帳が発行できるらしい。
あと、3歳から小学校入学までの3年間の通園を提案された。火曜日と木曜日の週2日。
そこで【自立】に向けた訓練を行うのだ。
そうすると私は、月水金曜日は幼稚園に登園、火木曜日は療育センターに通園という鬼スケジュールだ。しかし、断る理由がない。
療育センターへの通園はかなりの狭き門。
通いたくても通えない子供たちが多いことは知っていた。次男のように【確実】な子供が優先されるのでグレーゾーンの親御さんは本当に苦労していると思う。
私はこの鬼スケジュールを受け入れる覚悟をしたが、それは想像以上に大変だった。
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