第76話 息子たちの育児 第2章 3
次男の手術から3ヶ月後。
ついにつかまり立ちしながらの移動が出来るようになった。
この時点で2歳と6ヶ月。
……入園、出来るのだろうか。
長男は幼稚園ライフを存分に楽しんでいる。
オムツも入園して1ヶ月くらいでとれた。
でもおねしょはしてしまうので布団に敷くおねしょシーツは欠かせない。
その日お迎えに行くと、長男の髪がクマ耳のようにアレンジされていた。
「絶対に似合うと思ってちょっと遊んじゃいました!」と、先生がアレンジした様だ。
その時はグリグリ天パを少し伸ばしていたので私もいつもアレンジをして楽しんでいた。
もしかすると心は女の子かもしれないし将来男の子を好きになるかもしれないし、男の子だからこうと決めつけず育てていた。
一応、服を買う時はズボンとスカートどちらにするか聞いてみるがスカートは女の子が履くやつと理解しているようなので自分は男の子という認識のようだ。
長男のオタク気質は変わらず、魚と恐竜にハマっており水族館や恐竜の展示会など行ける範囲でジジババと一緒に出かけていた。
おもちゃ用クローゼットはプラレールとトミカと魚のぬいぐるみに恐竜フィギュアで、まるで夢の宝箱や~!状態である。
眠る時に厳選した【お友達】と一緒に眠るのだが、お友達の量が半端ない。
ほぼ埋もれて寝ている。
出来ればゴツゴツした恐竜フィギュアはデカいし痛いので御遠慮願いたい。
肝心のクラス委員だが、正直に申し上げると何をしていたのかほぼ記憶にない。
恐らく、人と関わるということに必死すぎて業務内容は記憶から消去したと思われる。
ぼんやーり覚えているのは、何かの出欠だかを確認していたよーな。
こんなんでよく立候補したものだ。
他の2人のクラス委員のお母さんだが、1人はどう見ても外見はパリピである。
話し方もパリピである。
ノリと勢いで生きてきた感じだ。
嫌いじゃない。
もう1人のお母さんは大人しそうな見た目だけど
旦那さんとの結婚を反対されたので強行策として子供を作り岩手県から上京したらしい。
嫌いじゃない。
何かの打ち合わせ(本当に覚えてないやば)をすることになり、幼稚園から1番家が近いうちに来てやらないか?と提案してみた。
近くのマクドナルドは室内遊具があるので混むから私が行きたくなかっただけである。
家に招くと第一声が2人とも、
「家!綺麗すぎ!物!無さすぎ!」と発した。
「物はありますよ、しまってるだけで」
「いや、ウチの汚さを見て欲しいね!」
……何の自慢だ?笑
「何でこんなに片付けられるの?やばー」
「たぶん、癖?だと思います」
「綺麗好きなの?」
「物が出てると気になっちゃいますね」
「うわー、羨ましいわぁー」
「でも面倒臭いなぁって毎日思いますよ」
「だって洗濯物がその辺にないのがもう凄すぎるんだけど!」
……どういうことだ?
「干して仕舞わないでそのまま取るって事?」
「そうだよー!いちいち片付けないよ!」
……なるほど。楽でいい作戦だ。
飲み物とお菓子を出し、次男とパリピ長男にもあげる。
「もしかしてこのお菓子、手作り?」
「あ、はい。次男が食物アレルギーなんです」
「マジ人生何周目だよー!」
「お菓子なんて作れないよー!」
……とてもよく食べる。笑
打ち合わせに入るまでに世間話でほとんど終わった気がする。これから同級生のママ友として仲良くしてくんだから敬語やめてーと言われたので、逆に緊張するがこれも修行と思った。
こうして、打ち合わせ場所として基本的にうちに集まることが多かった。
おやつを楽しみにしている節もあるが、今までこんな母親同士、家族の話などしたことがなかったので私は本当に嬉しかった。
なぜクラス委員に立候補したのか聞かれたときも理由を素直に話した。
次男のことと自分のこと。
共感してくれる人が居るというのが、こんなにも心強いなんて。
勇気を出して良かった。
私は仮面を被らずに笑っていた。
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