第68話 息子たちの育児 10

……いっその事、死ねばよかったのに。


なぜ私が心の底から憎悪が湧いているかというと、私の円形脱毛症を見つけたカツオが笑いながらこう言ったのだ。


「え!?こことここハゲてね!?やばー!!」


子供たちには悪いが君たちの父親にはこの世から去ってもらいたいと願っている。

いつ死んでくれても構わない。なんなら1日でも早く消えて欲しい。私は全く悲しくない。

なんなら子供たちは人が死んで悲しいなんてことをまだ理解できないのだから、悲しむ人が増えない内に死んで欲しかった。


私はまだ対人への恐怖が消えていない。

そこへ円形脱毛症という【外見】でわかるものが出来てしまった。更に対人への恐怖は増す。

次男を産んでから1度も美容院に行っていない。

前髪だけ自分で切っている。

あの日、魔法の書物を開いた時のようなキラキラなんて無い。私が私の新たな人生を踏み出したきっかけは美容院だった。生き甲斐だった。

喪失感で心が満たされていく。


その喪失感は子供が埋めてくれる。

でも私は子供に依存しすぎないようにした。

子供には子供の人生がある。

長男が、次男が、それぞれの人生を自分の手で掴み、自分の足で進むように私の存在が重荷になってはいけないと考えていた。


【毒親】にならないように。

仮面を何十枚も精一杯に被る。

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