第64話 息子たちの育児 7
造影剤で撮影したものを先生と一緒に見る。
心臓の狭窄は思っていたよりも悪い。
子供でも直径3ミリの太さはほしいところが
髪の毛ほどの細さしかないらしい。
もう少し成長したらバルーン拡張手術で血管が広がるか定期的に試すことになった。
まだ生後3ヶ月で運動制限のしようがないので
今のところは様子見である。
長男生後1歳半。
4頭身くらいになった。
ガーゼタオルを持ちながら親指をしゃぶる。
指しゃぶりは私と同じ癖だ。
ムチムチとコロンとしてて無条件に可愛い。
髪の毛はクリンクリンの天パだ。
ご飯もよく食べる。ピタゴラスイッチを見るのが好きらしい。ピタ ゴラ スイッチ♪
次男生後半年。
やっと首がすわった。通常の成長過程であれば
もう寝返りが出来ている時期だ。こやつの成長はまだまだ先は長い。長い目で見る。
長男が使っていたテントみたいで床に転がりながらおもちゃがブラブラするやつ(名前がわからない)で泣かずに少し横になれるようになった。どうやらおもちゃも見えているようだ。
両腕のぐちゃぐちゃも良くなってきた。
どうやら次男も、天パっぽい。でも相変わらずほぼ1日泣いていることが多い。
産後半年の私。
腹のぜい肉が邪魔だ。産前に着ていた服はほぼ全滅である。まるでプロレスラーのような体型になっている。生まれてこのかたダイエットなどしたことが無い。偏食なので食事制限をするとなると、鶏胸肉意外に食べられそうなものが見つからない。うん、まだいいや。産後うつは
治っていない。私はたぶん正義感が強くて自己犠牲を厭わない性格であり、心配症。危機管理能力が高い故に考えすぎてしまう。成長していく長男、成長していると思われる次男。2人の差が大きくなるほどに大変さが増していく。
研修を修了したカツオ。
こども医療センターを通る路線も担当だ。
分刻みの奇跡が起きたらカツオのバスに乗ることがあるかもしれない。
休みの日は子供を連れて散歩くらい行って欲しいのだが生返事しか返ってこない。腹が立つ。
ご飯は作れないし掃除も洗濯も出来ないし働くことしか出来ないので残業100時間だろうが働いてもらう。うんこシーマのローンもあるのだ。
それから更に2ヶ月が経った頃。
私の電話に家の不動産会社から電話がきた。
【子供の泣き声が煩いと連絡があった】と。
込み上げるものを堪えて確認する。
「事前に確認もさせていただきましたがこちらのアパートは家族入居可、ですよね?」
「もちろんそれはそうなんですが」
「確かに子供は泣きます。しかしそれをどう泣き止ませろと仰るのでしょうか?私はご近所に配慮をし、掃除や洗濯以外の時は極力窓などを開けないようにしています。でも玄関とベランダをどちらもあけて風を通している入居者さんがいらっしゃいます。煩いというのであればお互いが上手く工夫するしかないのではないのですか」
「小さなお子様なので難しいとは思いますけど」
「出ていけ、と言っていますか?」
「いやいや!」
「では、何をしてほしくて今お電話してきたのですか?逆に言わせていただきますと苦情を入れた方は何か手を打った上で連絡されてきたのですか?例えばエアコン代が勿体なくて窓を開けっ放しにしてそれでたまたま後から入居してきた子供連れの家が煩いと言われて、誰が納得しますか?管理される者としてお答えください」
ここのオーナーはすぐ近所の不動産屋が所有していることを知っている。だから管理会社に委託などはしていない。人を見た目で判断するたちではないが、ろくでもなさそうな老夫婦だ。
苦情が入ったから仕方なく連絡するしかなかった、というようなことを繰り返す。
「では私から菓子折りを持って直接ご説明に伺うのでどちらの方かお教えいただけますか?」
「それはできませんで...」
「それではこちらも子供が泣いた時に瞬時に泣き止ませることは出来ませんので、失礼します」
その日から私は窓だけでなく雨戸まで閉めて
台風に備えるかのような日々を過ごした。
完全に陽の入らない部屋での子育て。
私は起床と共に床に倒れた。
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