第24話 高校生 1 怒涛への1歩目
「私立にならなくて良かったーあ!」
合格おめでとうの代わりの言葉を母上からいただいた。
公立に受からなかったら母のキープしていたい生活レベルを下げることになる。それならいっそ働いて実家にお金を入れるか、家出でもしてトンズラしようかと思ったくらいである。
通学定期もかからないように配慮し、自転車で25分の高校を選んだ。半分は坂道だ。
ジャージのサイズ合わせで高校へ行った際、
会ったのは同い歳の従姉妹である。偶然にも
従姉妹も同じ高校を選び2人仲良く合格した。
従姉妹はいわゆる生粋のオタクというやつで
当時ギャルが蔓延っていた中学時代では変わった趣味の人と思われほとんど通学していない。
なので、同じ中学の同級生がいない高校の選択肢のひとつが、このKS高校だった。
私は体育会系のオタクという謎のジャンルに属していたが、従姉妹とは今でも仲がいい。
桜がそろそろ散る頃、入学式があった。
公立だが比較的に校則が厳しい。にも関わらず
私のスカートは膝上の丈である。
皆さんならもう理由はお分かりですよね?
そうです。母です。
制服のサイズ合わせで試着した際に
「やっぱり膝が見えないと可愛くないし、バランス悪いね!あんた自衛隊に向いてそうなガタイなのに脚だけは細いから、お直ししちゃおう!」
そして私は無事に登校初日からスカート丈について指導をされたのです。
もちろん「母が勝手にお直ししました」と言ったのだからきっとろくでもない母親だと思ったに違いない。しめしめ。
しかし自毛が明るい件に関してはマジなので
保護者宛に電話確認をされた。
これは風評被害である。
母が私に対して唯一ほめるのは髪である。
自分が癖毛で嫌な思いをしたので私を妊娠している間ひたすらお腹を撫でながら
「髪の毛 だ け は 綺麗な子になります様に」と、
祈っていた通りに生まれた。
デブでもブスでも髪の毛だけは!!!
なんていう祈りがあるだろうか。
そんな事を祈るならボルゾイにでも生んでもらいたかった。
KS高校は入部必須のため、やはり帰宅部希望は美術部やら手芸部やらに入っていた。
私の希望は最初から決まっている。
【野球部のマネージャー】だ。
正直、高校野球にはあまり興味はない。
とにかく野球に関わりたかった。中学の卒業論文も野球について書いたくらいハマっていた。
部活見学では既に同級生が入部体験で守備練習に入っていた。
1年生を抜かして見たところ……
明らかに人数が足りていない。
3年生が3人と、2年生が3人。
野球どころの話ではない。
今までどうやって【部活】として活動していたのか疑問に思う。でもまぁ今そこにいる1年生が入れば充分11人くらいには届きそうだ。
ならば私も入部しよう。
マネージャーは3年生が1人と、2年生が2人。
私が1年生で1人。
選手に対しての比率がおかしい。
どんな強豪校やねん!と関西弁になりそうだ。
私は好きな野球と関わって高校を卒業すると思う以外なかった。
高校生らしい楽しい生活を送るはずだった。
なのに。どうしてだろう。
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