第22話 中学生 7
クソ暑い中、無事に部活を引退した。
涼しくなる頃、無事に修学旅行に行った。
この後にあるのは高校入試だ。
兄が名門の進学校を受験すると決めてからというもの、母の張り切りっぷりはなかった。
オレンジ色のヘアマニキュアで白髪染めをしていた母は髪を暗く染め直し見たことの無いフォーマルスタイルで兄と学校説明会へ向かう。
帰ってきても自分は浮いていなかったかなど気にしつつ興奮しているようだった。
滑り止めで受ける学校も進学校である。
どこに受かってもおかしくなかった。
いつもシーソーの上にいる兄は毎日がとても楽しそうに見えた。
私は勉強をしなくなっていた。
兄は2個上なので私の入学した年に受験がある。
2人を見れば見るほど勉強をする気が失せた。
母は私に対して諦めていた。
経済的に公立に進学してほしかったようだが
バカなので私立になるかもしれない。
私立ですら怪しいと思われていた。
働けと言われた方がマシだった。
自転車で通える範囲
制服はまぁまぁ可愛ければいいか
野球部があることは必須だ
偏差値が低いところで
公立、となると高校はここかな。
滑り止めの私立は2校選んだ。
ひとつは女子校。ここに落ちたら就職だ。
その女子校に行くと小学校で一緒にミニバスをやっていた2人と出会った。
相変わらず、上位カーストのようだ。
交わしたのは挨拶程度。
ここの学校には行きなくない、と思った。
もうひとつの私立は先生と母と3人で面談をしなくてはならなかった。
父が送ってくれた車から降りると、
「あんた、少しは愛想笑いしてよね!」と言う。
面談はほぼ母の独壇場だった。
しかし先生が、「この成績ならうちの学校よりもっと他に行ける学校があるんじゃないですか?」と言ったのだ。
そう、私は手を抜いているだけで成績自体は至って普通であった。
先生のその言葉で母は一気に高揚する。
突然、自慢の娘になったのだ。
この高校に無事に合格し、公立に落ちても高校には進学できることが確定した。
「ここに受かったのはママが面談でめちゃくちゃ頑張ったおかげだからね!感謝してよね!」
はいはい、そうですね。
私はあなたと違って世渡り下手ですからね。
アリガトウゴザイマシタ。
今でも酔っ払って昔話になる度に言ってくる。
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