第18話 中学生 3

クラスに慣れてきた。話せる人が増えた。

話しかけられたらちゃんと笑えるようになって

虫と石だけが友達だった私は卒業した。

これはアポロが月に行くぐらいの進歩だ。

でも未だに男子は苦手だ。


学期が変わる時に席替えがある。

勉強は出来ないがムードメーカーでスポーツが出来る男子が私の隣の席になった。

案の定、めちゃくちゃ話しかけてくる。

私は精一杯の愛想笑いをしながら話を合わせるのがいっぱいっぱいだ。


そんな日がどれくらい経ったか。

【教室用】の女子たちが私を避けている。

話しかけても無視というやつだ。

つまりはイジメだ。


全くもって身に覚えがなかった。知らぬ間に何か気に触ることを言ったのだろうか。

【部活用】の女子が話してくれた。

どうやら【教室用】女子の1人が例の男子に恋をしており、私と仲良く話す姿を見た嫉妬の結果だそう。


くだらねーーー

それはあくまで私の価値観である。

その女子からしたら一大事かもしれない。


なぜなら私は【男モテ】する要素があるらしいのだ。

あくまで第三者の意見としてだが、顔は可愛らしく小柄でアニメ声、成績も悪くはなくスポーツが出来、そして巨乳であるから余計に目立つのだと。


だからその男の子は既に私の事が好きだから

よく話しかけているんじゃないか、私に盗られるのではないか、という妄想の末にたどり着いたのが無視するイジメということだ。


そんな浅はかな考えをする奴とは【教室用】としても一緒に過ごす意味は無い。

なんなら【教室用】としている時点で私も大して思い入れることはないのだ。

自分が誰と一緒に過ごすか、あるいは1人で過ごすのか、決めるのは自分だ。

私は1人で過ごすことを決めた。


あの子男好きらしいよ

友達の好きな人盗るから気をつけな

無視されてて1人なんだってさ


暫くして、無視の主犯格は男子に直接私の事が好きなのか聞いたらしい。答えは滑稽だった。

「バスケ部の子に片思いしているんだ」

私はソフトボール部だ。全くの無関係だ。

妄想を現実に持ち込み勘違いした挙句、勝手にフラれたのであるから実に悲しい。


2年に上がるクラス替えでその男女とも別々になり、少しは平穏な日々を送れるようになるなと安心した。


と、思ったら次なる試練が訪れたのである。

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