第15話 小学生 最終
なんだか隣のクラスが騒いでいる。
様子を見にクラスへ行ってみると
K君が机の上に立って叫んだ。
「俺は○○のことが好きだーーー!!!」
そう、○○とは私のことである。
ここまでなら未成年の主張のようで感激だが
忘れてはいけない、K君はアホなのだ。
叫び終わるとプリっとしたおケツを出して
おどけてみせた。
初めてされた告白は呆れつつ笑って流せる楽しい出来事だった。
K君は小学校卒業後、引越しが決まっていたのでもう会えないことをお互い分かっていた。
K君、ありがとう。楽しかったよ。
卒業式の日、3年生と4年生の時の担任の先生が
声をかけに来てくれた。
「卒業おめでとう。中学校でも元気でね。
私は来年から隣の小学校に異動になるの。」
隣の小学校は今の小学校を真っ直ぐ行けばすぐの所にある。なので寂しくなったらすぐに会いに行ける距離でホッとした。
式を終えてみんなが帰路に向かおうとする頃、
教室で誰かが話す声が聞こえたと思ったら
怒りつつも泣きながらNちゃんが出てきた。
「どうしたの?大丈夫?」と声をかけたら
「本当の犯人は誰なのか聞いたのに私だって言う。やったの私じゃないのに信じてくれない!」
実は6年生の私のクラスで椅子に画鋲を置いたりするイタズラが起きていた。
画鋲が置かれていた女の子が犯人はNちゃんだと先生に言ったことから、犯人だと確定された上でNちゃんは先生に呼び出されていた。
自分ではないと主張し続ける声に耳を傾けず
何の証拠もなく偏った意見を真に受けた結果、
1人の少女は傷付き怒り泣いていたのだ。
私はまた大人に対して失望した。
本当にNちゃんがやっていたのなら、わざわざ
卒業式という日に担任に詰め寄らないだろう。
Nちゃんは芯のある強い子だなと思った。
そんなNちゃんは中学受験に合格していたので
卒業式でお別れ。
Nちゃん、私は信じてるよ。
出来上がった卒業式の写真を見ながら母に聞いてみた。「なんでみんなはこれから通う中学校の制服で卒業式に出てるのに私は違うの?」
「だって制服で参加しなきゃいけない決まりじゃないし、それに制服は地味で可愛くない!こうして見てみたらやっぱりママが選んだ服が可愛いし目立つでしょう!あの子お洒落な服ねって思ってもらえるんだから!」
私は目立ちたくもないし可愛いとかお洒落とか
人からどう思われようと知ったこっちゃない。
自分は自分、というポリシーは持ち合わせているが、何かが違う。
わざと人と違うことをしたいわけではない。
でも母は昔からそして今でも、
【少し変わった自分】に酔っている節がある。
母は変わってるねと言われると喜ぶが、
私はそう言われると不安になる。
母に似ているということになるからなのか。
中学校は別の小学校に通っていた人たちも居ると思うと、嫌で嫌で仕方なかった。
春休みが終わらなければいいのにと思った。
隣の小学校に遊びに行こう。
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