第13話 小学生 6 転校生
5年生に上がる前、先生に「Kちゃんと4年間同じクラスだから5年生からは別々のクラスね」と言われた。
クラス替えは発表の日の掲示板を見ないと分からないのだが、先生は私にだけそのことを伝えてきた。私は正直に伝えた。
「Kちゃんがいないと不安だよ」
でも先生は微笑みながら「大丈夫よ」とだけ言った。じゃあ大丈夫…だと思った。
先生は来年も3年生と4年生をみるらしい。
5年生と6年生は別の男の担任に変わった。
5年生になってすぐ「お兄ちゃんがミニバスケットボールクラブに入ってるからやってみない?」と声掛けされた。
なぜ兄がやっているから私もやる必要があるのかさっぱり分からなかったし、クラス替え早々に別の新しい人と話すのも億劫である。
でもまぁ成り行きで入ることになった。
実は私は運動神経がかなり良かった。昔は。
もちろんかなりチビなので立ち幅跳びとかは若干不利になるが、それ以外のスポーツテストではいつもクラスで1番だった。
何故ならプライドが高く、自分にすら負けたくないのである。
だからミニバスでも試合はいつもスタメンだったし、途中交代させられることも無かった。
でも他校から来ている女の子もいて正直全くコミュニケーションはとれなかった。
ある試合で初めて行く体育館、用具室の階段を上って1人休んでいた。1人が楽だった。
誰かが私を呼んだ。上っていた所からドアの方を覗いたら勢いよくドアが開いて完全な角が私の額にガツンっ!とめり込んだ。
思わず額を押さえしゃがみ込む。
めちゃくちゃ痛いとこんなに汗が出るんだ…
そう思って見た掌は真っ赤に染まっていた。
その日は大会だったので母が来ていた。
不可抗力であるにも関わらず怒られた。
まずは心配するところじゃないのだろうか?
血だらけのタオルを取り絆創膏を貼って
2試合目に出場した。帰りたかった。
5年生は特にこれといった思い出なく終わり6年生に上がった始業式で転校生の女の子が来た。
自己紹介を促されるも名前を言うだけで精一杯だ。そりゃそうだろう。私なら地獄だ。
転校生が来たら皆わらわら集まって話しかけるのかな?と思いきや、あまり話しかけない。
そう、Mちゃんは恥ずかしがり屋だった。
だから話しかけられてもモジモジしてしまう。
当然だろう。みんながみんなKくんのように
アホではないのだから。
私はMちゃんに話しかけた。
上から目線で大変申し訳ないが、
Mちゃんはめちゃくちゃいい子だった。
気が合う、とはこの事なのかもしれない。
仲良くなりたい。前の担任の先生以来、初めて自分から人に興味を持った瞬間だった。
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