第14話 やっぱり、死・・

引き屋「やっぱり、死・・」

かなえ「・・・」

引き屋「やっぱり、死ぬしかないですよね・・」

かなえ「ええ・・」

引き屋「どう考えても」

かなえ「ええ」

「やっぱり、そこに行きつきますね」

「ええ、絶対他に行けませんね」

「ほんとやばいよね。僕たち。なんかやばい結論にしか行きつかないというか・・」

「はい・・」

「でも、やっぱり、どうしてもそこにしか行きつかないんだよね」

「ええ、どういう方向からどう考えても結論は絶望なんですよ。絶対に行きづまってるんです。抜け道はないんですよ」

「うん・・」

「・・・」


 沈黙・・


引き屋「この間・・」

かなえ「はい」

「この間、三十歳の男と十八歳の女の子が、マンションの部屋で練炭自殺したっていう記事を見ましたよ・・」

「・・・」

「二人は見知らぬ間柄だったそうです・・」

「・・・」


 沈黙・・


引き屋「すみません・・」

かなえ「いえ・・、流れとしてはそっち行ってますよね」

「ええ・・」

「・・・」


 沈黙・・


かなえ「この間・・」

引き屋「えっ」

「この間、ニュースで、長年引きこもっていた五十代の息子を父親がハンマーで頭を殴って殺したっていうのをやってましたよ」

「・・・」

「息子は長年引きこもりをこじらせて・・」

「・・・」


 沈黙・・


かなえ「すみません・・」

引き屋「いえ・・、まさにリアルですね。僕の現実では・・」

「・・・」


 沈黙・・


引き屋「明るい未来とか・・」

かなえ「はい」

「想像できませんよね」

「ええ、真っ暗闇ですね。太陽のない宇宙のような。ほぼブラックホールのど真ん中ですね」

「世の中は平和なんですけどね」

「ええ、ほんと平和です。きれいに空が晴れ渡るように平和です。そして、豊かです」

「・・・」

「・・・」


 沈億・・



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る