第5話 舞の仕事
長いような短いような曲が終わると息を詰めて見入っていた
観客からはため息をきこえた。
ついでそれは「すごい」との呟きになりしまいにはおおきな歓声となった。
踊っていた彼らはその歓声により我に返った。
「ねぇ私意識はしていなかったんだけどな」
「俺だってこんな拍手喝采させるおぼえないんだけど」
2人の囁きは興奮した完成の前に消えていった。
2人が舞台裏に帰るなり人が集まってきた。
「すごいですね。こんなに見事な踊り手は見たことがありませんよ」
「この舞台は大成功ですね」
「どうしてそんなに出来るのですか? やっぱりそれ相応の講師にならったのですか?」
その問いに女は言葉に詰まる。
「私は……両親に」
「俺は兄におしえてもらったんだ」
「そうでしたか。すばらしいです。それではお金のほうなのですが情報屋さんから渡してくれと言われたぶんと我々からも出させて下さい」
「「いいんですか?」」
2人の声が重なる。
「ええ。とてもよいものになりましたから」
「それと契約はどうなさいますか? できたら続行していただきたいのですが」
「すいません。私たちは1日で結構です」
劇団の人たちは苦笑していたがその返事に納得してくれた。
女たちが去る時にはこれからは自分たちで頑張るぞと威勢のいい掛け声があった。
こうして夜は更けてゆく。さて情報屋へ行ってしごとをもらうそれをこなした女たちはというと宿の1室で話をしていた。
「儲かったな。俺もう感激」
「さてと次はどうするかな」
「金もたまったんだし、そろそろ本格的は旅の進路をきめないとな」
そのことばをきいてアリアはうごいた。
「レイそろそろ出番だぞ。出てこい」
女は白い小瓶を取り出して中身が出るように逆さにしたのだ。すると白い靄のようなものが出てきて次第にそれは男を型どり、具現化したのだ。
「おいこら~だから忘れるなっていってんだろう」
「…ん…おもったんだけどいつも怒鳴っているよな」
「そうなんだよこいついつも怒っているからあまり表に出したくないんだよな~」
「うるさいなお前らは!――俺は悪意は凶悪犯の死刑囚に入れちまえっていってんだけどご主人様が聞き入れてくんなくてさ」
「へぇ。ては一応あったんだな」
「そんな手は使わないからな。それを使うなら死んだほうがましだ」
「全く頑固だな。それじゃほかにはないのか」
「……お前に話していない事ならまだあるぞ」
「そんなことあったのかよ。はなせ」
もう敬語さえ使わなくなった頭に霊が説明する。
「この種族はいま、俺達しかいない」
「――まじかよ」
これではたとえ方法があったのだとしても、同族で話し合うことが出来ない。
不確かな方法を捨て身で試してみても、仲間がいなければほぼ意味のない行為でしかない。
レイはとつとつと話し始める。
「歴史を言うならこうだ。
10年前くらいまえは
何万単位で存在していたんだが霊親族説特融の病が発生してね。
ふつう生まれて少し経つと少年少女位の容姿になる。
成長が止まるんだが、病にかかるとそのままよぼよぼの年寄りになってしんでしまうんだ」
「私たちが生まれたのはその病の猛威がさったあとだったの。ほかのみんなは悪意を吸い取りすぎてなくなったわ」
「それが顛末かよ。可愛想だな」
「人がいいのか、馬鹿なのか分からないよな」
レイは哀しみを称えた目で言った。
「……ん? 10年前まで万単位でいたなら知名度だって高いはずじゃないのか」
その疑問は2人には馬鹿馬鹿しく映ったのだろう。彼らは哄笑をしだした。
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