第4話 職探し
アレーは大きな町だ。場所を移動すれば、もう一つ職安があった。
翌朝、ちかくにあった町の情報屋で仕事探しをすることにしたのだった。
豪華な2階建の建物に足を踏み入れた2人はまず人の多さに圧倒された。
「なにこれ。騒がしいったらないわ」
「こんなもんなのかな。まあいいか。それより人を捕まえないとな」
太った男を見つけてアリアは質問する。
「2人で出来る仕事ないかしら」
「少々お待ち下さい。それまでこちらのへやにどうぞ」
通されたのは簡素な一室だった。
「はやくいい案件があるといいけど」
そんなつぶやきから15分ほどたった時、
にこやかにさっきの中年男性が入ってきた。
「該当する物が20件ありましてね。きめていただきたいのです」
片手にもってたのは分厚い封筒で、その中には十数の紙束が入っていた。
「あなたから見て一番条件のよい仕事はどれなのですか?」
男はページをめくっていく。金額と休みを見ているようだった。
「こちらになります」
これが差し出したのは一番上に入っていた紙だった。アリアはその用紙に目を通した結果の結論は――
「これに決まりね」
「いいのかよ。そんなにあっさり決めて」
「いいのよ。これにしたいので雇い主に連絡をお願いいたします」
「解りました10分ほどお待ちください」
太った男が去っていくと頭は聞いた。
「どんな内容なんだよ?」
「見てなかったの? 大道芸人やそれに類する仕事できるかた募集中! アクションが出来る方なら増額あり。男女問わず大歓迎」
「なるほどね~これなら俺的にもできるな」
納得したところで中年男性が契約完了を告げた。
「お二方。先方との話がつきました。ご自由にかいてある場所まで言って下さい。とのことです」
「わかりました。ご連絡ありがとうございます」
「えっとこれから1週間はレニガンという場所にいるのよね。早くいかなくちゃ」
馬に乗りアレーから1時間ほどかかったのだろうか、
目的地であるレニガンにたどり着いていた。
そこから町はずれに移動していくとむずぼらしいテントがある。
「ごめんください。情報屋に依頼をしたものですが」
「良くいらっしゃいました。これからすぐにやっていただきたいのです」
「あの、私は剣舞が得意なのです」
彼女はにこりとしていった。
「ほんとですか! 舞の出来る方ならなお歓迎いたしますわ。今度の催しものはそういう人材が必要だったのです」
そうして舞台裏へいき準備を始めた。
「じゃあ最終確認よ。この音をきっかけに大きく振り上げて静止する。これを2人で息を合わせるから後は自由に踊っていいんだって」
「へいへい。あわせるのはそこだけでいいんだな」
「そうですよ。全部で一時間ですからしっかりリズムを聞いて下さいね」
彼女はそういって舞台に立った。
「あとは私らがでるだけだから。あんたらは10分後に出番だ」
ここの作業員の言葉に従ってまっていた。
「残り5分だね。衣裳の確認をしないと」
2人はまだまだ慌ただしく控室に向かった。
去った後の舞台裏は不信の声で埋まっていた。
「あんな若すぎで剣舞を舞えるのかよ。やっぱり別の奴にしたほうが……」
「馬鹿だね。5分後には始まるこの舞台で替えなんかできやしないんだよ」
「それにしてもモノ好きな2人組だこと」
そんなことをぼやいていた裏方の者も作業に取り掛かり始めた。
「あんな風に言われては動きずらいったらないよ」
「ほんとだぜ。なんでこんな緊張する仕事選んだんだろ」
がくりと肩を落とす2人に中年のおばさんが励ましの言葉をかけていく。
「甘いこと言ってんじゃないよ。仕事で簡単なことはないんだからね」
「解ってますって。これからが腕の見せ所だ」
頭が舞台の裾から客席を盗み見ると満員で後ろには立ち見すらいた。
「これはがんばんなきゃね」
舞台を照らしていた明りが暗くなり民族的な音楽が流れる。
「これより2人組による剣舞を始めます」
よくある紹介とともに2人は舞台の中央にはしって所定のポーズをとる。
シャランと鈴を合図に2人は動き始める。
2人がちゃんと合わせて踊るのは初めてなのだが
それを感じさせないほど息が合っている。
うでの上げ方や角度、背筋の伸ばした姿勢まで
きっちりとあっている姿に観客は引き込まれるまで時間はかからなかった。
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