【 特殊能力 】
「実はね、今まで黙ってたんだけど、私、見えるの……」
「えっ? 何が?」
彼女は突然、そんな不思議なことを口にする。
「誰と付き合うのかが……」
「えっ? どういうこと……?」
「私、1年後に誰が誰と付き合うのかが、見えるの……」
「えっ? い、一年後に……?」
「うん……」
彼女の話によると、彼女はその人を見ると、1年後に誰と付き合っているのかが浮かび上がって目に見えるのだと言う。
そう言えば、クラスの女子や男子の付き合う人を結びつけたり、告白してきた男子の付き合う人を結びつけたり、恋のキューピッド役をずっと彼女はしてきている。
しかも、それがいずれも100%で。
それを可能にしているのは、彼女のこの特殊能力がさせてきた技だと言う。
彼女は時折、ゆっくりと瞬きすることがある。
それは、この特殊能力を発揮した時らしい。
彼女はこの自分の特殊能力にずっと苦しんできたんだ。
あの夕日の中の教室で、ひとり泣いていた彼女……。
あれは、彼女のこの能力があるが故の涙だったんだと、この時僕は初めて知った。
そして、今、ここで涙を流している理由。
それが意味するもの……。
その理由を僕は、彼女にどうしても聞かなくてはならないと思った。
それが、どんなに辛い理由であったとしても……。
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