5.襲撃
ラブドールから服をもらった。
それだけでなんだか文明的な気分になってくる。
ツギハギだらけの服しか着た事がなかったから新鮮な気分だ。
ドールが服の下に着ていたちょっとエッチなデザインの下着までもらってしまったために、ドールはまっぱになってしまった。
このロリロリしたデザインのドールはひろしの好みにドストライクで、変な気分になってくる。
ひろしは私よりも少し年上くらいの少女が好みなのだ。
「すごい、おっぱいまで綺麗に作られてる」
ひろしは膨らみかけのおっぱいが大好きだった。
この小さいながらも立派におっぱいであろうとしているくらいの大きさはひろしの好みド真ん中だ。
私の感情としてはこんな罪深いドールを作ったオ〇エント工業とやらに思うところがあるのだが、ひろしの記憶が勝手に創造神に対する感謝の祈りを捧げてしまう。
血管まで再現されたリアルなドールの乳房をツンと突けば、その質感はやはり実物の肌とは少し違った。
シリコンでは柔らかさは表現できても質感は完璧に表現することができないようだ。
少し熱が冷める。
私は自分の胸を触ってみて質感を確かめる。
なるほど、私のおっぱいが無さ過ぎてよくわからない。
膨らみかけの大きさも無い真っ平だった。
10歳ならこんなものだろう。
いや、ひろしの世界の10歳はもう少し大きい子もいるか。
食生活が違いすぎるんだ。
孤児院では1日2食パンとスープのみだから、胸に栄養が行く余地はあまりない。
きっとこれから食生活が改善されれば大きくなるさ。
まあひろしの記憶を得た今では、それほど胸が大きくならなくてもショックではないだろうしな。
自分のが揉めないなら他人のを揉めばいい。
私はドールの控えめおっぱいを揉みしだいた。
これはこれで良いものだ。
ちょっとだけ下のほうを見てみる。
このドールはひろしのようにと殺されるべき人種向けの商品なのか、毛は無かった。
それどころか何もない。
ただの穴があるだけだった。
ここがこのドールで一番重要な場所といっても過言ではないと思うのだが、ここをリアルに作ってしまうとなんらかの法律に触れてしまう可能性があるとひろしの記憶は教えてくれる。
ひろしは無駄な知識だけは溜め込んでいたのだ。
リアリティの欠片もない穴を見て、チ〇コがあったらとちょっとだけ入れてみたいと思ってしまった。
これから女としてちゃんと生きていけるのか不安になってくる。
まだ初潮も来ていないが、女として生きていくということはいつか股座に男のチ〇コを突っ込んで汚い汁で妊娠して出産しなければならないのだ。
そんなのは絶対に御免だ。
男としての人生を前世の記憶として思い出してしまった弊害か、私は男を異性と感じる感性が鈍くなっているような気がする。
レズビアンになってしまったのかもしれない。
「チ〇チンの生えた女の人がいたらいいのに……」
思わずそう口にしてしまった。
女としての快楽にも興味があるが、男のは嫌。
そう考えるとチ〇コの生えた女性というのが理想的だった。
私の持っている知識はほとんどがひろしのものだけれど、ここはひろしのいた世界ではない。
もしかしたら、種族的にそういう人もいるかもしれないよね。
私はドールをカプセルに戻し、ベッドの上で寝袋に包まって眠った。
その日はなんかエッチな夢を見た気がする。
次の日の朝、グギャグギャといううるさい声で飛び起きる。
この声には聞き覚えがある。
ゴブリンの鳴き声だ。
ゴブリンはこの世界ならどこにでもいるような魔物だけれど、油断できる相手じゃない。
数によっては屈強な冒険者すらも負けて殺されてしまうような恐ろしい魔物だ。
ゴブリンという魔物の恐ろしいところは女性が負けると殺される以上の酷い目に遭わされてしまうところにある。
ひろしの世界ではなぜかゴブリンのすることのリアルな本などが売っているが、概ねあのとおりだ。
女性は死ぬまでゴブリンに犯されて子供を産まされてしまう。
人間の男だってお断りなのに、ゴブリンなんて冗談じゃない。
私はガチャアイテムの中から使えそうなものを探した。
10歳女児がゴブリンと戦うためには、生半可な武器であってはダメだ。
その点ひろしの世界には農民でも鎧武者を討ち取ることのできる武器、銃がある。
ガチャからもいくつかの銃が出ていたはずだ。
銃はひろしの国では民間人が持つことを禁止されている武器なので実際に撃ったことのある人は少ないけれど、無駄知識を溜め込んでいるひろしは撃ち方だけは知っていた。
私はガチャボックスのリストから、銃を出してベッドに並べる。
Bランクのバ〇ットM82は出さなかった。
あれはひろしのやっていたインターネットゲームでも出てくる銃だが、私の手の平からはみ出るほどに大きな弾丸を使う化け物みたいなライフルだ。
私みたいなヒョロガリの幼女では持ち上げることすら敵わないだろう。
銃は火薬の爆発を使って弾を飛ばす武器なので撃つたびに反動があり、幼女の身体では撃てる銃は限られている。
ライフルやショットガンはもちろんのこと、大口径のハンドガンもちょっと無理そうだ。
となると選択肢は口径の比較的小さいハンドガンに限られる。
しかしさすがに22口径では威力的にゴブリンを殺せるか不安だ。
9mm×19mmの弾を使うグ〇ック17とベ〇ッタM92あたりが無難だろうか。
私はグ〇ックとベ〇ッタのマガジンを一度抜いて弾が入っていることを確かめる。
アイテム鑑定に書いてあるとおりマガジンいっぱいの弾が入っているらしい。
グ〇ックの17発とベ〇ッタの15発、合わせて32発は連続で発砲することができる。
アニメや漫画のキャラのように2丁拳銃なんて馬鹿な真似はしない。
たとえ9ミリとはいえ、私のような子供が片手で撃てるものではないのだ。
装弾数の多いグ〇ックを手に持ち、ベ〇ッタを予備としてズボンのポケットに突っ込む。
グ〇ックは設計も優秀で、女性にも扱いやすいと聞いたことがある。
外見もゴツイベ〇ッタに比べると樹脂が多めでソフトな印象を受ける。
私はグ〇ックを祈るように握り締めて覚悟を決めた。
テントの外にはゴブリンの能天気な鳴き声が今でもしている。
やはり戦うしかないようだ。
緊張で震える手を気合で抑え、グ〇ックのセーフティを外してスライドを引いた。
カチャンと安っぽい音がして9mm弾が薬室に装填される。
身体の頑強さが人間とそう変わらないゴブリン相手ならば9mm通常弾で十分殺せるはずだが、ひろしも私自身も一度たりとも実際に撃ったことはないのだ。
身体に震えが戻ってくる。
足音や鳴き声からゴブリンは複数体いることは間違いない。
ぐっと恐怖を堪え、私はテントから飛び出した。
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