第117話 戦闘、そして……?

 そして俺らが助けに来たことで、他の囚われているライバーも歓声を上げ、大きく盛り上がりを見せる。気分はまるで、応援されてるスポーツ選手のようだ。


 一方、魔王は俺らに気づいているようだが、出方を伺っているのか、特に何も攻撃してこなかった。ならばこちらから攻めよう……と俺より先に思ったヤツが、攻撃を仕掛けていて。


「行くぞっ、ファンタスティック・ワイヤー!」


 言いながらロビンはワイヤー銃を発砲し、魔王の手足をワイヤーで縛り付けた。


『!?』

『いいぞ』

『こんな武器あったのか!?』

『うまい!!』

『拘束した!?』


「続けろ、ルイボーイ!」


「ああ! 喰らいやがれッ!!」


 ロビンの合図で俺はロケランをぶっ放した……が、命中する直前に魔王はそのワイヤーをぶっ壊し、瞬間移動して避けるのだった。そのままロケランの弾は壁に当たり、大きく穴を開けた。


『うわあああああああああああ!!』

『おしい』

『よけられたああああああああ!!!』

『室内で使うのこえ~~』

『穴空いたwww』

『ここから落ちると死ぬぞ』


「クソ、ワープ持ちか……!」


 言いながら俺はもう一度弾を込める。もっと弱らせてからじゃないと、命中させるのは難しいのか……? 


「なら僕が行きます……召喚、ケルベロス! ファイアブレスです!!」


「合わせるぞ、ティーチャー!」


 そして安藤先生とロビンが同時に攻撃を仕掛ける。ロビンはケルベロスの攻撃を避けた位置を予測していたようで、丁度ワープしてきた魔王に鉛玉を命中させた。


『うまい!』

『ウマすぎ!!』

『ゲームセンスあるなロビン』

『もしかしてロビン強キャラだったのか?』

『強い!! いけるぞ!!』


「フーハハッ!! これでトドメだ!」 


 更にもう一発打ち込もうとした所で、魔王は煙を出して……忽然と姿を消した。


「き、消えた……? ティーチャー、やったのか?」


「いいえ、やってません……うわっ!?」


 ……刹那、その煙の中から現れた魔王の突進に反応出来なかったのか、二人とケルベロスは大きく弾き飛ばされた。


「ロビン!! 先生!!」


「グッ……!」「これはマズイですね……」


 二人飛ばされて立て直すのには時間が掛かる……ここは俺らで相手するしかないようだ。俺はレイに視線を合わせる……そしたらレイは、杖を振り回しながらこう言って。


「類、素早さ強化するから、時間を稼いで!」


「……ああ!」


 バフが掛かった所で俺は走り出し、魔王の目の前に立つ。そして剣を振り下ろしたが……ワープで避けられた。急いで俺は現れた方へと追いかけて、剣を振り下ろす……が、またワープで避けられた。


『ワープずりぃww』

『移動速度上げても当たらないのか』

『近接は当たらないんじゃないのか?』

『おちょくられてない?』

『意味あるのかそれ』


 ……俺だって、馬鹿の一つ覚えで剣を振ってる訳じゃない。魔王がワープする為のクールタイムが、どんどん長くなっているのを俺は見逃していなかった。つまり……連続してワープを使用することは出来ないってことだ。


「……」


 いつか剣が命中することを信じて、俺はワープ先に動きまくった。そして5回は超えた頃に……遂に俺の一振りは魔王に命中した。


「うらああァァッ!!」


「ッ……!?」


『きたあああああああああ!!!』

『入った!!』

『当たった!』

『これはデカい!!』

『これで敵は総崩れだー!』 


 だが魔王は怯んだもののすぐに体勢を立て直し、黒の大剣を取り出して俺に振りかざしてきた。俺はそれを受け止めるが、一撃が重すぎてとても耐えきれるものでは無かった……でも既にレイが、大魔法の準備を完成させていたようで。


「はぁぁーっ、闇に飲まれて! ダークアロー!!」 


 レイは杖から無数の黒い矢を魔王に向かって飛ばした。魔王はまたワープで避けようとするが……その矢には追尾性能が付いていたようで、どこまでもしつこく追いかけ回して。魔王の身体に何発も突き刺さるのだった。


『うおおおおおおおお!!!!』

『ダメージ入ってる!』

『これは痛い!!』

『レイが闇魔法使いしてる!?』

『すげぇよレイちゃん!!』 


 それで魔王は一刻も早くこの弾幕を止めたがっているのか、もう俺には目もくれずレイに向かって移動した……そして。


「ガアァッ!!」


「……きゃあぁあああっ!!?」


「レイ!!」


 大剣の一振りで、レイは大きく弾き飛ばされた。これでまともに動けるのは俺だけになってしまった……でも、やるしかない!! 俺はすぐさま走り出して……。


「……っだああッ!」


 飛び上がって剣を振り下ろした。その攻撃は命中して、魔王はまた体勢を崩した。これは確実に弱ってる……今ならいける!! 思った俺は武器を持ち替え、ロケランを構えて、狙いを定めて……ぶっ放した。


「喰らいやがれ…………ファイアーーーーッ!!!!!」


『草』

『草』

『いっけええええええええええ!!!!』

『うおおおおおおおおおおおおおおお!!』

『あたれええええええええええ』

『上Bで草』


 ……その放った弾は見事に命中して、魔王は爆破した。そして足元には鍵と小さな宝箱が現れたのだった。


「やった……鍵とドロップアイテム落としたぞ!!」


「ルイ君、鍵をこちらに!」


「はい!」


 俺は安藤先生に鍵を投げ渡す。そして先生はその鍵を使って、牢屋に捕らえられていたみんなを開放したのだった。


『ナイスパス!』

『うおおおおおおおおおお!!!』

『きたああああああああああああ!!』

『開放だーーーー!!』

『これは完全勝利だな!!』


「ありがとうございます、ルイさん!」


「ルイルイ、やるじゃーん?」


「お礼は後で良いから…………ってなんだこの音は?」


 そして俺が宝箱を回収していると……突然『ゴゴゴゴ』と地響きのような音が鳴り始めた。そして俺の隣にはブツブツと何か唱えてるロビンの姿が……。


「ひょっとして……いや、まさか……」


「おい、どうしたんだロビン?」


 そして天井からポロポロと破片が落ちてきた。それを見たロビンは……確信したように俺の方を見て。


「やっぱりこれ……ボスが倒されて、城の爆破装置が作動してないか?」


「はっ…………はぁぁあああああ!!??」

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