第101話 レイとショッピング!

 そして俺らはメインストリートの南通りを歩いていた。そこは主に装備品関連の店が多く並んでいて……俺らの目当てとする武器屋も見つけることが出来た。


「あっ、武器屋あったよ! 入ろう!」


「ああ」


 俺はレイの後ろを付いてって店に入る。そこは木の壁一面に剣や斧なんかが飾られていて……カウンターには店主であろう、強面のNPCが立っていた。なんだか本当に冒険者になったみたいだな……そしてレイは店内をグルグルと眺めていって。


「おー雰囲気あるねー! 類はどんな武器が欲しい?」


「そうだな……一通り見てから決めても良いか?」


「うん!」


 レイから許可を貰った俺は店主に話しかけて、売ってる武器の一覧を見てみた。そこには剣、ハンマー、槍、弓などの正統派な武器。銃やロケランなどリアルな武器。魔法の杖や召喚獣などのファンタジー系の武器があったんだ。


 かなりジャンルがバラバラで、全部乗せ過ぎるが……結構武器のバランスは取れているらしい。もちろん、ロケランとかの値段は相当高いものに設定されていたけど。


「決まった?」


「ああ……じゃあ、俺は無難に両手剣が良いかな。きっと扱い易いだろうし」


 そしたらレイは少しつまんなそうな声を上げて。


「えー。こんな世界に来てまで、スタンダードな剣使うの?」


「良いだろ。それに剣だって、全男子が憧れる武器No.1に違いないだろ?」


『まぁな』

『じゃあ今流行りの二刀流にしよう』

『ならガンブレードにしよ』

『ファンタジー世界でも安定を取るルイ』

『武器選びにも性格が出るねぇ』

『一応お前魔道士だけどな』


 コメントで自分が魔道士だということ思い出したが……まぁ、別に魔道士が剣を使ったっていいだろ。魔法剣士、なんてのも厨二心がくすぐられるし。


「分かったよー。まぁ、剣なら安く済むから助かるんだけどねー?」


 それでレイが俺の武器を購入してくれたようで、銀色に輝く剣を手渡してきた。それを受け取って、俺はお礼を言う。


「ありがとう。レイは何にするんだ?」


「私はもちろん……これだよ!」


 そしてレイはさっき購入したであろう、彼女の身長と同じくらいのサイズの杖を取り出した。杖の先端にはクリスタル的な宝石が埋め込まれていて……まんまゲームで魔法使いキャラが装備するような杖だったんだ。


「おお、カッコいいな! ……でも何で杖?」


「なんてったって私、魔術師だからさ! やっぱり魔法が使いたいじゃん!」


 そう言ってレイは杖を構えて、とある魔法少女の決めポーズを取った。当然と言えば当然なのだが……そのポーズに彩花の面影が残ってて、ちょっと笑ってしまった。


「あははっ、似合ってるな」


「ホント?」


『カワイイ』

『レイちゃんは可愛いなぁ!』

『あざとかわいい』

『こんなん惚れないほうが難しいだろ』

『スクショタイムください!!』

『ルイ、もっと褒めてやれ』


 ……ん? もっと褒めてやれって……まぁ。偶にはコメントの言う事でも聞いて、スクショタイムとやらの時間を作ってやるか。そう思った俺はこう口にして。


「ああ、様になってるよ。魔道士だったことを忘れてた俺とは違うな」


 そしたらレイはちょっと呆れたように……。


「ええ、忘れてたんだ……ってか私、別にキャラに合わせたとかじゃないからね? 本気で魔法が使いたかっただけだからね!?」


『草』

『分かってるってばw』

『どうして「カワイイからもう一回やって」の一言が言えねぇんだよ!!』

『ルイにしては頑張った方だぞ』

『というかルイレイでお揃いにしたら良いのに』

『確かに!』


 いや、お揃いつっても……もう武器買ったから揃えるのは難しいんじゃないか? それで向こうも似たようなコメント欄になっているのか……レイがこんなことを言ってきて。


「ねっ、コメントであったんだけどさ、私達お揃いにするのはどう?」


「でももう武器も買っちゃったし……もう一本杖を買うお金も残ってないだろ?」


「なら防具を揃えようよ! 魔法使いの服は、私達に共通してるでしょ?」


「ああ、ローブ的なやつか?」


 全く描写してなかったが、俺らはお互い初期装備の白のシャツを着たままだった。逆に言えば服以外はかなり様になっているので、服さえ見つけられれば俺らの再現度は相当高いものになるだろう。


「でも魔道士の服なんてあるのか?」


「行ってみれば分かるよ! じゃあこのまま防具屋さんに向かおう!」


「ああ、分かった」


 そしてそのまま俺らは武器を担いだまま、防具屋へと向かうのだった。


 ──


 そして何分か歩いて、俺らは防具屋にたどり着いたが……。


「とうちゃーく!」


「なんか……防具屋って感じはしないな?」


 武器屋とは打って変わって、ガラス張りでおしゃれな感じの外装の店が、俺らの眼の前にはあったんだ。どうやらレイも同じことを思ったみたいで。


「んー、現実の服屋さんみたいだね?」


「だな」


『こ、これは……』

『まさかこれは』

『服屋デートきtらああああああああああ!!!』

『これ完全にでーっっっっっっっ』

『服屋用意した運営GJ』

『おいルイ! どっちが似合ってるか聞かれたら、右手に持ってる方を答えるんだぞ!!』

『メンタリストも見てます』


 そしてまたコメントは盛り上がりを見せる……お前たちも飽きないねぇ。


「まぁ、とりあえず入ってみようか。魔道士の服も探さなきゃいけないしな」


「うんっ!」


 そして今度は俺が先頭でガラスの扉を開け、店内に入るのだった。

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