第98話 俺の知ってる女子会じゃない

 そして俺はチームメンバーを探しに、またメインストリートを歩いていた。道中、俺はコメントと雑談していて……。


「いやまぁ……もちろんレイと組むのもアリだけど。今回は色んな人と関われるチャンスだし。いつもレイとは喋ってるから、無理に絡む必要も無いんじゃないか?」


『いや?』

『そんなことないよ』

『別に同じチームでも他の人とは喋れるだろ?』

『俺らのことは気にしないでくれ』

『レイから逃げるな』

『素直になろうよー』


「別に俺は素直だってば。それにレイだって豪邸作った後は、一人で悠々自適に暮らしたいんじゃないのか?」


『はぁ~~~~~~』

『お前さぁ……』

『もどかしすぎる』

『クッソ言いてえなぁ…………』

『はい鈍感系主人公君一丁』

『もっと本とか読もうよ』


「だから何が言いたいんだお前らは…………って、こんな所にギャンブル場とかあったのか?」


 ここで俺は『CASINO』と書かれた、光り輝く建物を発見した。今のところお金とか全然持っていないけど……仲間探すためだ。俺はそこへ足を踏み入れた。


 ──


「うおっ! クオリティ高いな……!」


 カジノの中は結構作り込まれていて、スロットやポーカーが出来るテーブルなど、多くの台が並んではいたが……プレイしている人は見当たらなかった。まぁ序盤だし、みんなお金は消費したくないのだろう……と一人納得していると、奥の方から治安の悪い声が聞こえてきて。


「なあーーっ!! 外れました!!」


 ……このアニメ声はまさか……? 俺は聞こえた方へと足を進めると。


「あっ」


 ルーレット台を囲むようにして、カレンさん。そしていぶっきーと七海さんが座っていたんだ。いぶっきーはこっちを見た後、すぐにルーレットの方に視線を戻して。


「ああ、ルイさんでしたか……次は黒ですよ」


「へー? 伊吹ちゃんに乗ろうかな?」


「いやっ、次は絶対白です!! 三回連続で黒だったんですから!!」


 ……どうやら全員ルーレットに夢中らしい。あまり邪魔はしたくないが……俺にはチームメンバーを探すという使命があるのだ。とりあえず俺は一番雑に扱ってくれそうな、いぶっきーに声を掛けてみて。


「……何してるんすか?」


「見て分かりませんか? ……女子会です」


「俺の知ってる女子会は、中央にルーレット埋め込まれてないんすけどね?」


『草』

『草』

『良いツッコミ』

『いぶっきーは無表情でボケるから面白いなww』

『カレンちゃんがギャンブラーになってて俺、悲しいよ』


 そして俺が何か言いたそうにしてるのを察してくれたのか……七海さんが俺に話しかけてくれて。


「ふふ。それでどうかしたの?」


「ああ、その……お三方ってチーム組んでるんですか?」


「そうだよー?」


「そうなんすか。あの……もし良かったらなんですけど。チームメンバーとか募集してたりしないかなー、なんて……」


 それを聞いたいぶっきーは……軽蔑するような声を上げて。


「うわっ、まさかルイさん……女の子三人のグループに入って、ハーレムを楽しむつもりですか?」


「違う!! ……とは言い切れないか。でもチームを探してるのは本当でさ……」


 俺は尻すぼみに言う……そしたら三人は目を合わせて。


「んー。どうしますか?」


「あっ、普通にダメです」


「ええ……」


『草』

『草』

『草』

『草』

『ナイス』

『それでこそいぶっきーwww』

『ルイにはこの仕打ちが似合う』

『残当だな』


 これがメシウマと言うやつだろうか。コメントは凄い勢いで流れていって……それでいぶっきーは多少なりとも俺をフォローしてくれたのか、断った理由を説明してくれた。


「一応、私ら女の子だけのパーティーでやろうと思ってるんです。だからハーレムを楽しもうと企んでるルイさんは入れないのですよ」


「ハーレム強調しなくていいって……まぁ、そういうことなら分かりました。時間取らせてすんませんね……」


 そう言ってその場を去ろうとしたら……七海さんに引き止められて。


「ちなみにルイ君、どうしてそんなにチーム探してるの?」


「えっとまぁ……色々あって」


「そうなんだ。レイちゃんとやれば良いのに?」


「このゲームの世界でもアイツと絡むのはな……」


 ……それを聞いたいぶっきーは、シュバババっと。


「まるで現実世界では絡み合ってるような言い草ですね……」


「だあー!!! わー!!!! 燃えそうだから別の場所行くね!! じゃ!!!」


『草』

『草』

『草』

『草』


 そう叫んで、俺は逃げるようにカジノを後にするのだった。


 ──

 ──

 ──カジノエリア、定点カメラ配信──


「意地悪だねー伊吹ちゃん? 別に私ら女子パーティなんて決めてなかったのに」


「別に……ルイさんにはルイさんの合った場所があると思っただけです。それ以上の理由なんてありません」


「ふふっ、それもそっか。そっちの方が絶対面白いもんね」


『流石いぶっきー』

『なんだかんだルイに優しい伊吹ちゃん』

『実はいぶっきーってツンデレ?』

『こういう裏話聞けるの面白い』

『伊吹と七海のクール系女性コンビすこ』

『ってかずっとカレン黙ってるなw』


「…………ああーー!!!? 一点賭け当たりました!!!」


「おおー、カレンちゃん凄いねー!」


「いつの間にかとんでもない賭け方してますね……」


『草』

『草』

『草』

『きたあああああああああ!!!!』

『うおおおおおおおおおおおおおおお』

『36倍で草』

『これで所持金トップになって草』

『遂にギャンブルの快感を味わってしまったか……』

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