第56話 作戦ターイム!

 それから俺らは練習のためにシュプラを開き、試合に臨もうとしていた。このタイミングで各々配信を付けたようで、俺も放送を開始してみた……そしたら、いつものルイ民が2000人ほど集まってくれて。


『何だこのメンツ!?(歓喜)』

『シュプラコラボだと!?』

『このメンバーで大会でも出るのか?』

『いや、レイと頂上決戦するらしい』

『草』

『みんなを巻き込んで夫婦喧嘩やるのか……』


「あー。どうもこんばんは。知ってる人もいるだろうけど、俺から軽く説明からさせてもらうよ。実は3日後、レイ達とシュプラ対決することになって……それで俺はこのメンバーで、試合に臨むことになったんだ!」


『ハーレムメンバーだと!?』

『やっとなろう系の片鱗出てきたなw』

『でもメンバーのバランスは良さそうだ!』

『レイ軍にライムいるらしいけどな』

『終わりじゃねぇか』


「……で、今日は練習ってことで、この四人で野良の相手と戦っていきたいと思うよ……じゃあ三人ともパーティーに入ってくれ!」


「ほーい」「はい」「あーい!!」


 そして三人の声が聞こえたことで、コメントは盛り上がりを見せる。


『きたあああああああああ』

『かわいい』

『根強い人気のある三人だな』

『良いメンバー選んだなールイw』

『キュート、クール、パッションっぽいにゃ』

『ルイは?』

『そりゃあもうプロデューサーよ』


「…………あ。私ルイさんと友達じゃありませんから、パーティーに入れませんね」


「あ、もちもだねー」


「あたしもだ!」


『ん?』

『あっ』

『え?』

『る、ルイ……?』

『多分スニャッチのことだぞ』


「えっ…………あっ、ああー! ゲームのフレンドじゃないってことね! うわ、びっくりしたぁ!! 心臓止まるかと思ったよぉ!!」


『草』

『草』

『草』

『草』

『小心者だなぁw』

『かわいい』


 ──


 それから無事にフレンドになった俺らはパーティーを組んで、何回か試合をしてみたのだが……。


「ぐぁー!? また負けたぁー!?」


「惜しかったねー……60秒で終わったけど」


『0勝5敗か……』

『動きは悪くないと思うが』

『ルイのエイムがブレブレだも!』

『そういやルイって、FPS苦手だったっけ』

『これTPSだけどな』


 普通に敵が強くて、一回も勝てなかったんだ。確かに動き自体は悪くないと思うんだが……何か。何かが足りない気がする。


「ちょ、ちょっと一回作戦を考えよう! このままじゃ一度も勝てない気がする!」


「確かにそんな気はしますね……落ち着く時間も必要かもしれません」


 いぶっきーの言う通りだ。このまま無策で挑み続けても、勝てるとは思えない……ここで俺は休憩を兼ねて、全員の持ちブキを確認してみることにしたんだ。


「まず……各々のブキをちゃんと確認してなかったけど。みんな何使ってる?」


「あたしはトリプルホッパー!」


(トリプルホッパー……スライドという特殊な動きが三回可能な、二丁拳銃型のブキ。機動力はかなり高い)


「もちはかえでシューターだよ」


(かえでシューター……塗りが強い初心者向きなブキ。インク効率が良い)


「私はベリブルローラーです」


(ベリブルローラー……ローラー型のブキ。縦振りと横振りに大きな差があるのが特徴。スペシャル技が強い)


「俺は53リットルだ」


(53リットル……一発が53ダメージの攻撃特化のブキ。弾はブレやすい)


「まぁ……若干前衛ブキが多い気がするけど。ブキ自体は強いから、このままでいこうか。変えるのは立ち回りだ」


「立ち回り?」


 彩花との対決が決まってから、俺はこのゲームについて知識を加えていた。もちろん知識だけじゃどうにもならないのは分かっているが……知っているのと知らないのでは、プレイに差が出るのは明らかだ。


「ああ。まずリリィのブキはスライドって回避を使えるから、一対一の対面は強く出れる。だから強引に相手陣地へ切り込んで行ってほしいんだ。キルされてもすぐに戻ってこれるよう、復活短縮の装備を付けるのがオススメだね」


「おー! あたしにぴったりな戦い方だなっ!」


「もちのはサポート性能の高いブキだ。だからメインブキで塗りつつ、サブのボムやソナーを使って、相手の場所を味方に共有していくことを意識しよう。それだけでチームの生存率がぐっと上がる筈だ」


「おっけー。黒子役なら任せてよー?」


『ルイにしてはまともな指示だ……!?』

『もしかしてコイツ、ゲーム上手いんじゃないか?』

『ルイはゲームの上手さでスカウトされたみたいなとこあるからな』

『アーペ配信を思い出せよ!! お前ら!!』

『まぁチームゲーが苦手とは前に言ってたけど……』


 コメントで褒められてるのか貶されてるのか分からないが、とりあえず無視しておいて……同じ様にいぶっきーにも指示を出していった。


「うん。それでいぶっきーさんはスペシャル技の『ロットミサイル』が強力だから、沢山塗ってスペシャルを効率よく回していこう。確一攻撃のローラーも強力だから、狙える時はキルも狙っていこうか」


「はい、分かりました」


『おい』

『草』

『ちょっと待て』

『いぶっきーさん!?』

『何だその呼び方』

『初対面じゃないのかwww』


「あ、俺と伊吹さんは初対面じゃないんだよ。まぁ話せば長くなるけど……」


「そうですね。私のせいで、ルイさんがデビューしなかった可能性もありましたから……因縁の関係みたいなポジションではありますね?」


『草』

『草』

『草』

『なんだそれ!?』

『なにその話聞きたい』

『詳しく』


「えっ、何だその話は!?」


「まぁ、その話は今度するよ……じゃあ。勝つまで終わらないシュプラ耐久配信、続き行くぞ!」


「おー!」「はい、行きましょう」


「いや、タイトル変わってるぞルイ!?」


『いつの間にか耐久配信になってて草』

『作戦立てたしいけるいける(フラグ)』

『ルイルイふぁいとー!!』

『ちょ俺、今のうちにレイチームのスパイ行ってくるわ!』

『草』

『草』

『草』

『黄昏もいます』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る