第25話 俺が盾になろう!!!!

 ──そんなこんなで試合は進み、現在第3ラウンド。俺らは民家を占拠し、次の安置が発表されるまでこの場で待機をしていた。


 ……うーん。このまま待つだけってのも暇だし、もう少し話してみようかな……? そう思った俺はまたチャットを使って、来夢さんに話しかけてみたんだ。


『どうして来夢さんは、スナイパー武器しか使わないんですか?』


 そしたらすぐに返事が返ってきて。


『roman!』


「ロマンかぁ……」


 相手が弱い防具だったら、頭に一発当てるだけでダウン取れるので、確かにスナイパーライフルはロマン武器とは言えるが……。


『でも流石に近距離はキツイんじゃないんですか?』


『gurededounikanaru』


「グレでどうにかなる……いや普通はならないんだって!」


『来夢は普通じゃない定期』

『でもマジでどうにかするんだよなぁ……』

『ヒント:ライムはグレネードもめちゃくちゃ上手い』

『大会の時はショットガン持たされてたけど、凄い不服そうだったもんなw』


 コメントで来夢さんの情報がたくさん入ってくる。この人って本当に凄い人なんだなぁ……。


「そうなんだ……やっぱり来夢さんって、筋金入りの変態なんだなぁ……!」


『草』

『何で嬉しそうなんだよwww』

『先輩を変態呼びするな』

『これは切り抜かれる』

『実際変態ではあるが……』


 言葉をチョイスを間違えてしまった気はするが、あまり気にしないでいこう……。


『ikuyo!』


「えっ、行くよって……ちょっと待ってください!!」


 そして次のエリアが発表されるや否や、来夢さんの扱うバズは民家を出て、ジップラインを射出する。バズが見えなくなる前に、急いで俺もそれに乗って、来夢さんの後を追おうとしたのだが……。


「だから行動が早すぎるんだってば……!!」


【敵を発見】


「どこぉ!?」


【敵がダウン】


「だからぁ!!」


『さっき見た』

『再放送?』

『流れが同じで草』

『テンポが良すぎる』

『漫才か?』

『ライムのSR気持ち良すぎだろ!』


 そして来夢さんはそのままエリアを駆け回り、ひとつの大きな家にピンを刺した。


【こっちに行こう】


「えっ、そこに行くの? でも中に敵いない……?」


『ubau』


「奪う!!??」


『草』

『うばう!?』

『うっさいwww』

『復唱すなw』

『反応が面白すぎる』


 そして俺の有無も聞かず、ワイヤーを使って来夢さんは民家に突っ込んでいった。


「いや何で、スナイパーライフル2丁で突っ込めるんだよ……!?」


 家の中からは銃声が聞こえてくる。マシンガンの銃声に混じって、スナイパーのクソデカ銃声音が鳴り響いてくるのが面白かった……いや、面白がってる場合かぁ! 俺は急いで家の中へと合流した……そこには。


「…………」


 敵のデスボックスが積まれてあったんだ。


「……ああー。しゅんごーい。つんよーい」


『(^q^)』

『魂抜けてるぞ、ルイ』

『語彙力低下してんぞ』

『しっかりしろ!!!!』


 そして俺はそのデスボックスの山から、高レベルのアーマーや拡張マガジンを奪い取っていった。装備が強くなるのは当然、嬉しいことなのだが……。


「何もしてないから、凄い申し訳なくなってくるなぁ……」


『ryohukurukamo』


「呂布来るかも!!??」


『草』

『草』

『なんでだよ』

『んなわけあるかwwwww』

『誤字だろwww』

『漁夫だろうなぁ……』


 多分コメントの言う通り誤字だろうけど、ついそのまま読んでしまった。ちなみに漁夫とは、漁夫の利のことで……つまり戦闘で体力が減ったままの俺らを狙って、漁夫の利を得ようとする部隊が来るんじゃないか、ということである。


「どっ、どうしよう……!? って、うわわっ!?」


 そして俺らの家に大量のグレネードが投げ込まれてきた。やべぇ……こいつら当たるまでグレ投げてくるつもりだ!! 回復中の来夢さんに当たったら大変なことになる……! 来夢さんに当たるくらいならばッ……!!!


「俺がッ……俺が盾になろう!!!!」


 そう言って俺は壁になって、わざと相手の投げたグレネードのぶち当たった……そして俺のハンカは大ダメージを受けて、びよーんと宙に飛ばされるのだった。


『草』

『草』

『草』

『草』

『何してんだお前www』

『避けろやwwww』 


「だっ、大丈夫、体力はミリで残ってるから……んガバッ!?」


 だが、いつの間にか敵は家の中まで詰めていたようで、無慈悲にも俺に発砲してきたんだ。当然、体力ミリの俺はダウンする。


「うああああああぁぁぁぁぁあッ!!!」


『迫真過ぎる』

『草』

『ダメージ共有してる?』

『電流でも流れてんのかwww』


 ダウンしてしまった俺は、這いつくばったままシールドを貼って、少しでも敵の射線を塞ごうと努力する…………が。


「ごめんなさい来夢さん!! 俺の後ろに隠れて……ってええっ!?」


 来夢さんは俺を飛び越えて、相手に向かって一発二発と発砲した。それは全て敵に命中したようで、相手キャラはダウンしたんだ……。


「すげぇ……!? いや、あと一人も来るんじゃ!?」


 俺の予想通り、もう一人の敵が扉から入ってきた……が。来夢さんも予測していたようで、その瞬間に扉に向かって手裏剣型のグレネードをぶん投げた。どうやらそのグレネードは敵に命中したらしく……パリンとアーマーの割れる音が。


『刺さった!?』

『直撃だ!!』

『上手すぎでしょwwww』


 そしてそのままグレネードは爆発した。その爆発に当たると、相手にスロー効果が付与されるのだが……来夢さんがそれを逃す訳もなく。落ち着いてスナイパーライフルを構え……バァンと敵の頭を貫くのだった。


『かっけえええええ!!!!』

『ウンマすぎ!!!』

『こーれはクリップです』

『PVか?』

『バケモノ過ぎるwww』


「…………俺は…………夢でも見てるのか?」


『草』

『草』

『草』

『ルイ起きてー!!!!』

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