8月15日

 目を覚ますと、もう1時を過ぎていた。やってしまった。夏休みとはいえ塾があるので何とか生活リズムを保ってきたが、お盆で塾が休みになり、一気にリズムが崩れてしまっていた。


 テレビをつけると、戦争についてのテレビが流れていた。昼ごはんをよそりながら見ていると、特攻隊についての映像が流れ始めた。


 零戦だったり回天だったり、まあ一言で言ってしまえば、頭おかしい、と思う。思いついた人もそれを採用する人も、それに乗り込む人も。いや、もちろん時代が違うし価値観も違うし、まるで想像できない世界だ。一概に批判なんてできない。


 何故か分からないが、テレビでよく見る戦争――第二次世界大戦は青色に感じる。別に物事を全部色で見るような感覚を持っている訳では無いけれど、ほかの戦争と比べて、青色に。なんでかは分からない。でも、もしどこかの戦争の時代に行かなくてはならないとしたら、私はこの時代を選ぶと思う。


 コトコトと味噌汁が煮えすぎてしまった音がした。慌てて火を止める。冷蔵庫から梅干しを出し、ご飯の上に乗せた。ヨダレが一気に溢れ出す。これだけで昼ごはんは完璧だ。


 そういえば。夏休みの課題で評論の問題を解く宿題が出ていたのを忘れていた。私は評論が嫌いだった。昔の方がいい人達がごちゃごちゃ言っている感じがして、でも説得力でごり押されているような感覚があった。


 食べ終わるとどっと疲れが出た。寝すぎたかもしれない。こんなことが昔の人には幸せで、今の世の中には当たり前で。感謝すればいいってものでもないような気がずっとしている。どうにかして昔の人に私の分のご飯を届けられたらいいのに、と1度考えたこともある。優しさではなく。


 青の時代だ。誰かが銃を取る。死ぬために生きる。生きるために死ぬ。誰かの血を見て誰かが死んでいく。血で血を洗うなんて表現すら生微温い。


 彼らは戦争に生きていた。


 私たちは戦争を二次的にすら知らない世代だ。直接戦争の話を聞く機会などほとんどない。生きている方の祖父は戦争終結の2週間前に生まれた。だから、当然戦争のことなんて覚えていない。自分から知ろうとしなければ知ることの無い世界。戦争を知らないことを批判されてもしょうがない。だって知らないんだもの、としか言えない。


 そんなことを考えた。

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