第6話 兄は結ばれずにいる

「ミナミ!どういうことなの!?」

母親のヒステリックな声を聞いて、兄はうっとおしそうに目を細めた。

何事にも関心も興味も持たない兄は、家族のことにも関心がない。大学までは実家にいたため顔を会わせたが、社会人になって家を出てから、顔を会わせる機会はめっきり減っていた。

その兄が久しぶりに家にいて、母親に詰め寄られている。

そんな光景を前に、シュンは思わず目を丸くして瞬いた。

「カヨさんから泣きながら連絡が来たのよ!ほかに好きな人がいたせいです、だからフラれたんですって!話と違うじゃない!?」

兄は面倒そうに窓に視線を向け、母親が黙るのをじっと待っていた。

その態度にますます母親は声を荒げる。

終わりそうにもないな、とリビングに入るのをやめようかとした瞬間。

「カヨさんが言ってたわ。相手は男のひとだって」

ひび割れた、呪いのような言葉に、シュンは思わず顔を引きつらせて動きを止めた。


「またあの子なの?」


嘲るような、ひどく厭うような言葉に、シュンはリビングに足を踏み入れていた。

兄がゆっくりと、母に視線を向ける。

「いい加減にして頂戴、ミナミ!あんな子とは付き合わないでって何度も言っているでしょう!あなたをダメにしてるのよ!」

がたり、と兄が席をたった。

「に、兄さん、だめだ!!」

思わずシュンが叫ぶと、兄はぴたりと動きを止めた。

そしてゆっくりと振り返り、感情のない眼で、シュンを見返した。

兄を動かす人間はただひとりだけだ。

ここ数年は音沙汰もなく、兄は情緒もなく過ごしていた。見合いだったが、結婚までした。

だが、兄の根幹は永遠に変わっていないし、その兄がこうして家にいるのも多分、あのひとが言ったせいだろう。

(また捕まえたのか……)

シュンは、およそ無表情な兄がただひとりに向ける執着を知っている。

「か、母さん、やめてよ……兄さんがそんなことするはずないだろ?大体あのひとは、高校の時から音信不通じゃないか……」

本当はシュンは兄が大学時代にも彼を捕まえたことを知っていた。

だが兄のためというよりは、母親のために黙っていた。

引きつった顔でそう言うと、母親は唇を噛んだ。

目の前の兄がたしかにそんなことをするはずがないという信頼と、元嫁からの申告。

その狭間で葛藤する母親は、伺うように兄を見上げた。

「ねえ、そんなこと、ないのよね……?」

あなたはちゃんと私の言うことを聞いているのよね、と確かめるような言葉に、シュンは母親をかばったことを後悔した。この母のこういうところが本当にシュンは嫌いだ。

「もういいか?」

そして兄は心底めんどくさそうに問い返すと、そのままリビングを出ていった。

兄は義理は果たしたとばかりにめんどくさそうに母親に背を向ける。

反抗期もなかったできのいい兄の変わりようを見て、母親は重い溜息をついた。反抗期はただの一度きりだと思っている。

そんな母親の都合のいい妄想を、シュンは顔を歪めて目をそらした。

シュンは見送ろうと玄関に向かう兄のあとに続く。

そのまま出ていこうとする兄が振り返り、じ、とシュンを見返した。

「なに」

「……お前も家をでたほうがいいんじゃないか」

ぽつりと向けられた言葉に目を丸くすると、兄は金がないのか、と続けて問う。

「え、あ、うん、まあ……」

思わずうなずいてしまい、シュンはいぶかしげに兄を見上げた。

兄弟とはいえ、シュンは兄と仲がいいわけではない。お互いに干渉しない兄弟であることはわかりきっている。だからこそ、その申し出は意外だった。

意外というより、その言葉は兄の言葉ではないようだった。

「ちょうど人も減ったし、俺の家に来るか」

妻が出ていったことを人が減ったと言ってしまう無神経さに、シュンは顔に浮かべた呆れを隠さない。

どうしてこの人が結婚できたのか不思議だ。

兄の妻というひとは、兄に恋するような顔をしていたし、実際に好意にあふれていた。無愛想であまり気の回る男ではない兄のどこがよかったのか、シュンには一生分からない。

かわいさ余って憎さ百倍とは良く言ったもので、今日は好意が悪意に転じた日だった。

彼女は別れたあとも定期的に兄に連絡をし、何かと理由をつけては兄の元を訪れていた。離婚は兄が彼女の両親に話を通し、どちらかというと彼女の両親の強い意向があって成立しただけで、彼女は兄に未練を残していた。

そしてそんな彼女は、今日、好意が反転し、離婚したのは兄の不誠実のせいだと母に泣きながら語ったのだろう。

(不誠実も何も……)

「でもいきなり、どうして……」

そういうことに気を回せるような男ではないのはシュンが一番よくわかっている。

困惑を含めつつ口にすると、ああ、と兄が何の気なしに、そう言われたから、と答えた。

「イナサに」

その回答に、シュンは顔を引きつらせた。

「うっわ……イナサさんかよ……」

案の定、捕まっている男の名前を聞いて、シュンはなんと返せばいいのかわからなくなった。

「ていうか、だったらイナサさんが家にいるはずだろ?俺のいられるスペースなんてないんじゃないの」

そう言うと、兄は事もなげに問題ないと言った。

「寝るなら同じベッドだし、あいつに部屋は必要ない」

だからお前ぐらい問題ないと答えた兄に、シュンは口の端を引きつらせた。

兄と、友人というには複雑な関係の男が、体の関係もあるのをシュンは知っている。

二人はそばにいると磁石のように引っ付く。シュンよりも兄弟のように仲がいい二人は、きっと前世は双子か何かだったのだろうと思う。それか、悲劇で結ばれなかった恋人だ。

(……いたら絶対ヤるよな……)

反射的に、兄とその男のセックスに出くわしたくない、と思ってしまった。

だからシュンはその誘いにすぐに乗れなかった。

「……か、考えておく」

それでもそう返したのは、あの母親に合わせるのもいい加減嫌気がさしているせいだ。

家にいれば逐一この兄と比べられ、自慢の兄を褒める代わりに、シュンをみて残念そうな目をする。それをめんどうだと思うし、その視線がどうにもうっとおしい。

シュンは、比べられているからといって、兄が嫌いではなかった。

この男はシュンに興味がないし、あまり干渉してこない。シュンに対しても嫌いも好きもなく、この男は大抵のことに興味がない。

それは、ああいう母親と生活空間を同じにしていると、非常に楽に思える相手だった。

代わりに助けもしてくれないが、イナサがいると、こうして気を回してはくれる。

それもこの男が、というよりは、空気の読めるイナサが、というほうが正しいのだろうが。

兄の申し出は魅力的で、シュンは家を出るだろうと思いつつ、すぐには気持ちが決まらなかった。

「イナサが心配していた。だから決めるなら早いほうがいい」

兄は簡潔に連絡してくれ、とだけ言うと、家を出て行ってしまった。

(本当に、イナサさんでしか世界回ってないよな……)

イナサがいる時の気の回しようと、イナサが言うことに諾々と従う姿勢は高校生のころから変わっていない。イナサはしばしば兄の前から姿を消すが、兄はそれでも諾々とイナサが言っていたことを守る。

『イナサが言っていたから』

兄にはそれだけで、十分の理由になるらしい。

我が兄は、それなりに見目が整っているほうだとシュンは思う。

冷ややかですこし男っぽい見た目をしており、言い換えると落ち着いた雰囲気をもっている。浮ついた空気のなさは他人から受けが良く、とくに目上の人間には昔から受けがよかった。

だからこそというか、兄自体に軽さがないせいで、兄を好きになるひとは、いつでも情熱的で、重たい人間がほとんどだ。周りに集まる人間も必然的にそういう人間が多い。

その中で、イナサという男はかなり異色だった。

あまり笑わない兄とは違い、イナサは常に、にこにこへらへらと笑っている。

楽しいと笑い、おかしいと笑い、かなしいと口を曲げ、失敗しても怒られても笑う。

口数が多く、すこししか返事をしない兄に対して、倍しゃべる。寡黙な兄からすると、ときにうるさいくらいだろうと思うのに、兄はそんな男のそばに平然といたし、イナサを離そうとはしなかった。

高校のときは、よくイナサを家に呼んでいた。

だからシュンは、二人でいる姿を何度も見かけたことがある。

二人は一見、正反対に見えた。

だらしなく気崩したイナサと、きちんと制服を着ていた兄は、見た目からして違う。イナサはよくネクタイを探していたし、高校生のときからピアスをつけていた。

兄は毎日きっちりと首元までネクタイを締め、黒い髪のまま清潔感を保つように短く切っていた。ピアスなんてもってのほかで、当時から硬い印象を与えた兄は、イナサのような人種を嫌っているんじゃないかとシュンは思っていた。

話が合わなそうだな、と最初に二人を見たとき、シュンはそう思った。

けれど、兄はイナサに話しかけられるとおかしそうに笑う。

『うそだろう、ナライ。ヴェネツィア人といって最初に思い浮かぶのは、マルコ・ポーロだって。誰だってそうだろう?彼は世界一有名なヴェネツィア人だろうが。なのにお前ってやつはなんなんだ?ヴィヴァルディだなんて!誰も考えもつかないだろうな!』

『ヴァイオリニストだろう、彼は』

イナサの話に、言葉少なに返す兄を見たとき、シュンは驚いてしまった。

兄は、感情が欠落しているような鉄面皮だ。

笑うことも、泣くことも、褒められた時ですら無表情なのだ。

そうしたのは母だとシュンは思う。だが、母の言う通りに育った兄も気味が悪いときがあったし、そんな兄に長らく話しかけもしなかった。

だから、そんな風に話しかけられて笑うということができたのかと、シュンは目を丸くした。

『なんか有名な曲あったよな、ヴィヴァルディって。劇団の名前みたいなやつ。劇の曲だっけ?まあ、有名だから使われもするか。なんとか劇団みたいな、宝塚みたいなやつ。市町村の名前だっけ?』

『四季だろう。第一番、ホ長調RV.269、春だ』

『四季なのか。春があるなら冬もあるし秋もあるよな。じゃあナライは?』

『……それは四季じゃないだろう』

夏みたいに言うんじゃない、と言う兄に、そんなことはわかってるよ、と返すイナサは、いつものようにおかしそうに笑っていた。

正反対に見えて、二人の会話はおかしなくらいかみ合っていた。

シュンには、イナサにヴェネツィアの話をされてもわからない。それがどこの都市なのかと言われても、とっさには答えられないだろう。ヴェネツィア人は?と言われてもとっさに応えることすらできない。

でも兄は平然と答えるし、イナサも平然と答える。

シュンはヴァイオリンが上手くもないし、それなりにしかできない。

けれど兄はきちんとヴァイオリンが弾ける。コンクールで賞を取ってくるくらいにはうまい兄だから、音楽家の話をわかるのだろうし、それをわかって話すイナサも教養が広い。

(俺じゃなかったな)

二人を見て、シュンは何度かそう思っていた。

(俺じゃなかったら、よかったのに)

兄の弟は、自分じゃなくてイナサだった。

それか、シュンの上にイナサがいるはずだった。

二人は、同じ腹から生まれてきたみたいだった。そのはずだったのだろう。きっと同じ時間に生まれて、同じ血が流れていれば、あんな風に必死に手をつながなくてよかった。

同じ時間を同じだけ過ごしていれば、シュンはあんなふうに並びあう二人を見なくてすんだはずだ。

ふたりの姿は、必死で一生懸命で、どうしようもなく見ていると苦しみを覚えるものだった。

縫い付けないといけないみたいに、指先を絡める。

離れたら血が零れてしまうからと、つながった手を糸でぐるぐるにするように、5本の指をお互いに絡めて指先で掌を撫であい、指と指の間の付け根を爪でひっかいた。時に獣みたいにかみ合って、そこにあるのを確かめるみたいに、体温と血の流れを感じ、呼吸を確認する。

二人はどうあがいても違う生き物だった。

『ふたり』はどうしようもなく『ひとつ』ずつでしかない。

同じにはなれなくて、お互いはお互いで一人ずつだ。

永遠に一緒にはなれなくて、顔も流れる血も、生まれたときすら違うから、考えてることが分からない。

二人を見ていると、本当にシュンは人間とは分かり合えない生き物なのだと心の底から思う。

『あ~四季、劇団四季だ。なんかあれ、季節ごとの劇場があるらしいな。ナライは劇に興味はある?ミュージカルソングもいいぜ。劇は本当に華やかで、昔から王族に好まれたのもわかるな。ヴィヴァルディも劇の作曲家だろう?たしかヴェネツィアは当時、色んな劇場があったとか。いいな、イタリア。一度くらい行ってみたいよな』

『春、ピアノで弾けるようになってくれ』

『無茶言うなよ、ナライ。ていうか話聞けよ。お前、意外と俺の話、無視するよな。なんだなんだ、いじめか?ナライ。悲しくって泣いちゃうぞ』

分かり合えないから必死に話すしかなくて、お互いを暴くように言葉を重ねる。

どこまでも食べつくすように知りたいと口を開いて、言葉だけでは足りなくて、肌を舐めて確認し合う。

(……義姉さんは、それを見たのだろうか)

二人が一緒にいるところを見れば、兄が不誠実だったと糾弾したのも分かる。

そう言いたくなってしまうくらい、きっと兄がイナサに表情を向ける様は、耐えがたいものだったのだろう。

(でも、それは不誠実じゃないんだよ)

昔もそうして、イナサはよく糾弾されていた。

けれどその糾弾を、イナサはいつも喜んでいた。

『彼は彼であるだけで、それですべてが正しい。君たちの指摘は本当に正しいよ、感動して涙が出そうだ。あ、嫌味じゃなくてな?俺はナライがきちんと評価されていて、俺の見込みがあっているとわかって本当にうれしい。俺はナライにふさわしくないよな、本当に』

何度か出くわしてはにこにこと答えるイナサに、シュンはどうしていいかわからなかった。

『ああ、シュンか、なんだよ。見たのか、えっち。うそうそ。ナライ兄ちゃんには言わないでくれ。これは口止め料。俺は悪い兄ちゃんだからな、お金で解決するんだよ』

そう言って、飲み物を渡したり、お菓子を渡したりするイナサは、ただ口止めしたいだけではなかったとシュンは思う。イナサなりに、兄と関わらないシュンを心配している節はあったし、イナサはシュンによく兄の話をした。

しかしそれだけ話しているのに、イナサは兄の前から姿を消す。

連絡がつかなくなって、兄が胃潰瘍で倒れてから、シュンはその事実を知った。

ストレスだと診断されて、白くて無機質な病室で点滴を受ける兄は平然としていて、本当にイナサがいなくなっているのかわかっていないような気がした。

『……イナサさんと喧嘩したの』

そうして自分から話しかけたのはずいぶんと久しぶりだった。

イナサがいなければ、シュンはできのいい兄と話すことすらなかったと思う。

向こうも話しかけてこないし、シュンだって話もない。

『いや、してない』

『怒らせたんだろ』

『……わからない』

兄は、そうとしか言わなかった。

わからない。

そういう兄に、なんでだよ、とシュンは怒りたかった。

でも、病室でピアノの録音データを聞くだけの兄に、怒ることはできなかった。

(怒っても、そういうの通じるひとじゃねえし)

あれだけ話していたのに。

あれだけ必死に、手を伸ばしてたのに。

無神経で無愛想で、気が回らない。王様みたいなところがあるし、正反対のイナサを怒らせたんだろう。だから怒って連絡をたった。

(そうに決まってんだよ。でもさ、)

病室でピアノとヴァイオリンの二重奏だけを聞いている兄を見ながら、せめて何か言ったらよかったのに、とイナサをすこし恨めしく思った。

イナサだってあれだけ、兄の手を握り返していたのに。

(倒れるくらい、イナサさんがぜんぶだったんだよ)

イナサはピアノが弾けて、兄はヴァイオリンが弾ける。兄がコンクールにでるからと、イナサが練習に付き合っていたこともあるし、兄の部屋で本を読んだり、二人で勉強していることもあった。

それだけ兄と仲良くしていたはずなのに、どうしてイナサは兄から離れるのか。

シュンにはわからない。

一度再会したときに聞いても、答えはなかった。

『なんだよ、いい弟になったな、シュン。兄ちゃんのことが心配か?いいと思う。お前ら、話さねえからなあ。なんなの?俺んちは兄ちゃんとべったりだぜ?食事もよく一緒に食べる』

『なんで?』

『なんでだろうな?でも俺はナライといたらだめなんだよ。お互いにだめになる。そんなのは正しい友情じゃないだろう?俺はナライを愛しているからな。あいつはあのまま、正しいまま、正しく終わってほしいんだ。だからあいつの人生に俺は不要だ』

その言葉のなにひとつ、シュンにはわからなかった。

(……やめよう)

ふたりのことを考えると胸が苦しい。

まるでロミオとジュリエットのような悲恋を見ている気分になるのだ。

シュンは軽く息を吐いて、部屋に戻ろうとした。

リビングを覗くと、母親が憂鬱そうにテーブルに座ってうつむいている。

母は、イナサが嫌いだった。それをはっきりと兄に対して言ったことがある。

(そのとき、どんな目にあったのか、忘れたのかな……)

シュンは顔をそらして部屋に向かう階段を上りながら、携帯を取り出した。

SNSを取り出して、アプリを開く。今何してる、の文字の上に、指先で素早く文字を打った。

【ようやく家、出れそう】

そうつぶやいたとたんに、反応が飛んでくる。

【よかったですね】

おめでとう、と絵文字のマーク付きで送ってきた人に、シュンは小さく笑った。

「相変わらず早いな……」

最近知り合ったハンドルネームがよくわからないひとは、バイト先に時折訪れるお客さんだったことが判明した。チェーン店のカフェでバイトをしているシュンが、お客さんの手元の携帯から何気なく見えたSNSでうっかり声をかけてしまったのだ。

「最初は読み方わかんなくて、なにこれって思ったけど」

意外とあまく笑う男を思い出して、シュンは苦笑した。

【ありがとうございます】

と、打ち返すと、家具とか揃えないとですね、と現実的な言葉が返ってくる。

「てっきり、キローさんかと思ってたけど、日本人じゃなかったんだな」

『鬼狼』と書かれた名前のアイコンは、狼の写真だ。どこかからとってきたとわかる適当なネット上での顔から、てっきりきつい人間を想像していた。

けれど実際の本人はすこし顔色の悪い、ひょろりとした男だった。すこし困ったように笑う顔はあまやかで、なぜか笑うとイナサを思い出す。

そのせいか、ついつい色んなことを話してしまう。彼も聞き上手ではあるのだろうが、色々話しすぎかもしれないとシュンは思った。

携帯に入れたスケジュール管理のアプリを開き、次のバイトを確認する。

「今度来たら、クォイランさんに直接言ってみよ」

本人もずいぶんと流暢な日本語を話していたから、シュンは考えもしなかった。

『鬼狼』がクォイランと中国語で読むことを。


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