第2話 押しかけ眷属希望の理由
シュタイン曰く、彼には探している吸血鬼がいる。
残忍で凶悪な吸血鬼に、シュタインの友人である、吸血鬼ハンターが殺された。
だから彼は吸血鬼になろうとしている。
友人を殺した吸血鬼に、復讐するために。
『結局、人間は寿命が限られているし、能力はどうしても吸血鬼に劣る。慎重な奴だから復讐にあわないよう、どこかで寝て過ごすかもしれない。オレの寿命がくるまで。だから、力をつけるために、探す時間を得るために、吸血鬼になりたい。完璧な吸血鬼になる条件が厳しいのはわかっている。だから、まずは、お前の眷属にしてくれ』
同じ吸血鬼であるはずの僕に、シュタインは正直に語った。
同族を殺そうとする人間を見逃すと思うのかと尋ねたら、『ここの吸血鬼は、人間を殺すこともなければ、血を吸いに外にも出ない引きこもりだと調査してわかってる』といっそ清々しいほどの図々しさでのたまった。
吸血鬼はプライド高い一族だから怒って当然なのだが、あいにく僕が引きこもりなのは事実だし、人間を襲って吸血行為をしないのもその通りだった。屋敷にこもって、魔女たちとやり取りをして薬を作ったり魔法の研究をしたりして過ごしている。一族の中でも変わり者だ。
それは結局、優れた種族であることを誇ってても、下等と見下している人間の血液に簡単に狂ってしまう醜さを嫌っているから。
だから、僕は。
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