罠士の武器(2つ目)


上空100mを超えて、新たな課題。

ロケットなり飛行機なりはそうだが、継続的にエネルギーが居るのだ。


よって、完全にあの空の頂上まで行くのは……まだ不可能。

分かっていた事なんだけど、いずれは必ず行って見せよう。


……罠士の数がもっと増えたら、検証データも増えるからありがたいんだけどな。



「ないものねだりは時間の無駄か――」

『コッ』

「お? よーしよしよし」


《グリーンタートル LEVEL25》


亀の甲羅に乗りながら、グリーンエルドを進んでいく。

前みたいに自動走行させるとボス亀出てくるからな。

アイツは……リンカと一緒に狩ろう。一人でも狩れるだろうが時間が足りない。


「あっちあっち」

『コッ……』

「そうそう」


どうして自分の力を使わずに移動するというだけで、こんなにも楽しいんだろうか。

欲を言えばもっと早い生物を使役したいけど……このゆっくりさもいいもんだ。


合体捕獲罠の検証もまだ出来ていないし、適当にグリーンエルドの奥の方のモンスターで試していかないと。

ちなみに入口近くのモンスターは大体使役出来た。

ただ……スライム、ウサギ、だから何? って感じだったからな。

使役出来たところで有用とは限らない。

有用、有用……。なんか忘れてる様な――



「あっ」




【アイアンスコップ】

必要STR値10・DEX値10 

ATK+15 


農士が主に扱う、土を掘る道具。

特定のスキルが強化される。

一応武器としても使用出来る。


レアリティ:1

製作者:NPC




「忘れてた」



そういえば、ステータス振って装備可能になってたんだ。

元々DEX不足だったからね。


そうと決まれば、早速この“カメ”で――



『コッ』

「……流石に無理!」



コイツ以外で試します、はい。



大昔の戦争じゃ、銃や大砲の攻撃を避ける為に塹壕を掘っていた。


その時使用されていたのがスコップ。

だが、穴を掘るだけがそれの役目じゃない。

武器としても使用されていた。


先端での刺突、重い刃による殴打。

さらに、大きな刃を面として盾として用い身を守り。

フライパンとして料理にも使っていたとか。


まあとにかく、応用が利く道具なのだ。

ちなみにビームは出ない。



「『スコップスラスト』」



鍬の武技は『ホースラッシュ』だったが、スコップの場合はこれだ。


『スコップスラスト』……先端の刃の部分を前に向けて発動可能。

発動すると、素早い“突き”が行われる。


隙が少ない良い武技だね。

ホースラッシュに比べ一発の威力は劣るけど、秒間ダメージで言えばこっちが上だ。



《経験値を取得しました》

《レベルが上がりました! 任意のステータスにポイントを振って下さい》



「うーん、使いやすい」



攻撃にも守りにも使える。

例えるなら優等生。

マジでコイツだけで戦闘の安定感が凄い。



「加えて――『罠設置』」


《落とし穴が発動しました》



「……最高か?」



地面を掘る道具。

その言葉に嘘偽りなく――



「やっぱり落とし穴、強化されてるな」



特定のスキルを強化、と説明文にあったがその通り。

落とし穴の設置時間が3秒から2秒になっている。

スコップ最強! スコップ最強!!

ビーム出ろ!!!



「……まあ、使い分けだな」



一応、安定するとはいえ今は鍬の方が扱いやすい。鍬に慣れているのもあるんだが、レンジの違いが大きい。


鍬は長斧に似ている。

ハルバードにバカ失礼だけど、まあそんな感じ。


比較して、スコップは剣と盾と小さい槍だ。

3つの性質を持つが、長斧の性質は持たない。

二刀流とか出来ません? 

出来ませんか(諦め)。



「……ポーションよし、空瓶よし、空瓶(大)よし……」



準備運動は終わった。

いよいよこのジャングルの奥地へ赴く時だ。

この前の大亀より更に先。



『コッ……』

「待たせたな、行くぞ」



グリーンエルド探検隊(一匹と一人)は、ジャングルの奥地へ向かった……。


もちろん、スコップの検証記録も書きながらね。


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