計画実行


「ああああああクソがっ!!」

「うぜぇうぜぇ!」


「ッ……『パワーショット』!」


今の状況。

1分経ち、大亀は再起動。

そして当然の様に小さい亀達も彼らへと襲い掛かる。


……一方その頃。

俺は、頭上から暴れる民衆(三人)を眺めていた。


「上手く行きすぎてびっくり」


計画手順を並べると。


①、まずは彼らから離れた所で、グリーンタートル達を石ころ投げで『釣る』。


②、そのままの位置で、グラウンドトータスが30%刻み……つまり40%に近くなるぐらいまでタートル達と鬼ごっこ。

タートルは移動速度が遅いから、逃げる分には余裕だ。走ったら一瞬で距離が離れる。


③、40%に近くなったら、ジャングルを利用して彼らの死角にダッシュ……つまりトータスの裏側に走って回り込む。そして『地雷ジャンプ』の準備を。


④、40%になり睡眠状態となれば、当然トータスの『背丈』は低くなるわけで。そして地雷ジャンプで飛び乗る。

爆発音はあの睡眠直後の落下音で紛れるから安心。


⑤、そして背中に乗れば、俺に向けて遠くから子亀達がやってくる。

方向は勿論『ジャイアントトータス』。 


リンカとの狩りで分かったが、モンスターは最初に攻撃したプレイヤーを優先して狙う……が、途中から攻撃に参戦したプレイヤーが、ダメージ量が最初のプレイヤーよりも多く与えた場合ソイツに攻撃対象が移る。

つまりアイツらが子亀軍団に一撃与えた時点でヘイトは彼らに行くわけだ。



以上。

俺が居るとは思わない彼らは、その子亀に攻撃を開始。

しなかったらしないで方法があったが……ま、上手くいった。

今や彼らは大亀+子亀の板挟み。特に前衛2人はキツいだろうな。



「クソっ――」

「『ダブルエッジ』!」


既に1人はHPが30%。名前は『フール』。

紫の派手な髪色の、身長が高い彼。

一番動きが悪いのも彼だ。


……さあ。

高見の見物は良いものだが。



「……『同時罠設置』」



そろそろ次の段階に行っても良いだろう。

俺は空きビンを手にアレを作る。

大亀の甲羅の上、揺れはあるが……この程度ならギリセーフ。


《地雷を設置しました》

《地雷を設置しました》


完璧。

その2つを持って――下のナイフを持つ一人、『フール』の足下に投擲。


「!? 『フール』! 何か落ちて――」

「『スティング』――え?」


武技の発動後は、普通よりも隙がデカい。

鍬もナイフもそれは同じ。

足下に得体の知れないモノが落下しても――気付けは出来とも避けられない。




――ドカン!



《地雷が発動しました》

《地雷が発動しました》


《『フール』様をキルしました》

《ペナルティプレイヤーをキルしました》

《経験値を取得しました》

《50000Gを取得しました》

《レベルが上がりました! 任意のステータスにポイントを振って下さい》

《レベルが上がりました! 任意のステータスにポイントを振って下さい》


「……あ、アイツ」

「『フール』!!」


爆発に挟まれた彼は、呆気なくHPをゼロに。


ペナルティプレイヤーの場合は、体力半分以下からキルしたのに経験値貰えるんだ。


ラッキー。良いこと知れたな。

まあ今はどうでもいいけど。

アイツらさえキル出来れば――


「『罠設置』……よう、元気かハオスにノーブル! そういやあと一人はどこ行った?」


《地雷を設置しました》


「!」

「パワーショット!」


「……挨拶しただけなのに酷いな。何か酷い事でもされた? どうした、話聞こうか?」


下で頑張って亀達を相手している二人に声を掛けてあげた。

やられた事をそのままやっただけなのに酷いキレっぷり。


襲い掛かる矢は、亀の上の森林に逃げこんで回避。危なかった。

そしてまた顔を出す。


「降りてこい!!」

「てめぇ、ふざけやがって――」


「『罠設置』……すまん遠くて聞こえない。何だって? 『落とし穴最高』? そりゃ照れるね――」


《地雷を設置しました》


「……コイツ!」

「おいルーブル! 来てる!」


『――――』

「ぐあっ!?」


「……今だな」


見ればナイフ使いのもう一人『ルーブル』が、頭上の俺に青筋を立てていた事で隙となり……グリーンタートルの突撃を受けた事でその命は大きく削られた。


チャンス。

それを逃すつもりはない。

ここまで煽り続けたかいがあった。


作製していた地雷グレネード2つを、地面で伸びている彼にお見舞いする。



「――『ルーブル』! 逃げ――」



ドカン!



《地雷が発動しました》

《地雷が発動しました》

《『ルーブル』様をキルしました》

《ペナルティプレイヤーをキルしました》

《経験値を取得しました》

《60000Gを取得しました》



「……っ、クソ!」

「『待機解除』、『攻撃』」


そしてまた。

彼も、大分遅れてやってきた『亀』に気付かなかった。


『コッ――』

「はぁ!? ぐあっ――!」


ハオスの背後から現れた、『首輪付き』グリーンタートル。

使役中は色んな指令が出来るんだが、今までずっとそこ辺りで『待機』命令を。さっきそれを解除し『攻撃』命令を与えた。




……さあ。そろそろ終幕と行くか。

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