『復讐開始』

《プレイヤーキルにより死亡した為、デスペナルティは発生しません》

《グリーンエルド・闇市でログインしました》

《チャンネル移動を行いますか?》


「『いいえ』……まずは空瓶の確保。それから――」


不思議と頭は冴えていた。

やるべき事が、不思議と勝手に浮かんでくる。


眺めているのは『旅の記録』。

これまでの検証結果から、使えるものを抜き取り並べる。



「『実戦』への投入は初めてだな、上手くいけば良いんだが――」



楽しみで仕方ない。

俺は、手早く雑貨屋に向かった。



《グリーンエルド・戦闘フィールドに移動しました》


「……ッ」


走って森林を駆けていく。

死んだ後、チャンネル移動を聞いてきた……という事は俺とアイツらは同じ場所に居る。


場所は何となくだが覚えている。

あの時、甲羅の上で寝転がってる場合じゃ無かった。


だが同じ世界に居るのなら、きっと辿り着く。

いや。何が何でも追い付く。

奴らの狙いは恐らく『大亀』。

グラウンドタートルが死ぬ前に着かないとゲームオーバー。

大丈夫、そんな遠い場所じゃなかった。



「『同時罠設置』――」



だが、焦っていても仕方ない。

両手に空瓶をセット。


《地雷を設置しました》


「よし」


二つ地雷グレネードを作製……不意の急襲にも備えておいて。


地面に座り、耳を澄ませる。


鳥の鳴く声。

葉が靡く音。

流れる風の音。



「……『罠設置』」


このジャングル、色んな音が多すぎる。

なら。


《落とし穴を設置しました》

《落とし穴が発動しました》



「ッ――」


落とし穴に落ち、そこに座る。

俺が居るのは当然『穴』。


周りの音は消え、聞こえるのは上空からの音のみ。


そしてもう一つ――『地面が、揺れる音』。

まるで居場所を教える様にそれは聞こえる。

マップを見て、一応確認。


「あっちだな」


さあ、北北東に進路を取れ。

口元に笑みを浮かべながら――その目標へと足を向ける。



「復讐開始と行こうか!」



……そんな鮮やかに言うもんじゃないな、これ。

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