迫りくる影
『Freedom‐Liberty』。
サービス開始後、多くのプレイヤーがその世界に足を踏み入れた。
当然、それには『プロ』の者達も集う。
完全フルダイヴという未知の領域ではあったものの、その者達は『普通』よりも明らかに抜きん出ていた。
そして、サービス開始24時間後。
レベルと攻略進行度。
それらを踏まえトップに位置していたのは――ある三グループ。
百人を超えるプロチーム――『プラチナレッグ』の精鋭達。
仮想世界の申し子と呼ばれた、ソロプレイヤーの検証勢――『VP』。
「どんな手を用いても最前線に」……そんな宣言をした有名動画配信者集団――『ダーティーキッズ』。
そしてサービス開始48時間後。
その3グループを差し置いて現れた、『罠士』が急遽トップになる。
当然、彼らは気付いていないが。
鳴った『ワールドメッセージ』にて、『FL』内の真の『最前線』は知れ渡る事になる。
《 《 《 ダガー様が、フィールドボス・大樹霊の初討伐に成功しました!》 》 》
そんなアナウンスによって。
☆
『ダーティーキッズ』。
その名の通り、彼らは進む為なら『何でも』やるのがモットーだ。
狩り場の『
反抗する者には『
そしてその高いPSによって、横暴は自由に行われていた。
『彼ら』を狩ろうとする者は居るが……そういった厄介な者達が現れると、即座に逃走を繰り返し、隠密行動で煙を撒く。
そんな悪行を繰り返せば、当然ネットでも叩かれるが。
『悪評』は大好物。
名前が売れるなら何でも良い。
『FL』の最前線を撮影すれば、再生回数はうなぎ登り。
積み上がっていく罪ポイントなど、彼らは気にもしない。
そして彼らは――運が良かった。
たまたま同じ様なPKペナルティを持つ集団に数回遭遇しており、それを狩って経験値の大量獲得。
一気にレベル20に持って行けた。
《ノーブル LEVEL20》
《フール LEVEL20》
《ハオス LEVEL20》
「……なんでオレ達が最初じゃねーんだよっ!!」
「落ち着けって」
「ダガーって誰だ? プロでも何でもねぇ、ネット漁ってもロクな情報が出てこない」
「素人のラッキーだろ、どうせすぐ抜かす」
「チッ……」
場所はグリーンエルド。
ダガーが大亀と遭遇した頃……彼ら三人、『ダーティキッズ』のメンバーはそこへ辿り着いていた。
「あの『枝』のせいで手間取ったし……ああクソ腹立つ!」
「確かに」
「とりあえず動画撮りながら進んでいくか。もうコメントオフにしようぜ」
「だな」
「マジでアイツふざけんなや……」
☆
……そして。
彼らは見つけてしまう。
《ダガー LEVEL23 罠士》
《『
「――――『罠設置』!」
遠く向こう。
ジャングルにて――自分たちよりもレベルが高い彼。
ワールドメッセージで世界を驚かせた彼。
『最前線』に位置する『ダガー』の姿を。
「……アイツが」
「……何だよあのモンスター」
「……もう60%近くまでやってるじゃん」
グラウンドトータスに、そのダガーは奮闘している様に見えた。
そして――彼らの口元に笑みが零れる。
それは、『綺麗』なモノじゃない。
反対の、『邪悪』な危険な香りで――
「……奪っちまおうぜ」
「ああ」
「50%以上削られてたら報酬受け取れねぇんだよな――ついてる」
草陰。
罠士は、三人に気付く様子など全くない。
「ハハっ。こんな場所誰も居ねぇし最高」
「最前線は俺達のもんだ、あんなクソ素人にやれるかよ」
「その通り――行くぞ」
二人はナイフを持ち。
一人は弓を構え。
彼らは――そこから飛び出した。
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