検証記録表・鍬について


□――検証記録表・鍬について――□


遙か昔から扱われ、今も恐らく使われている農作業の道具、鍬。

こんなもん武器にする運営もおかしいと思うが、とりあえず可能性を探ってしばらく。


罠士界にまたもや激震が走った。

なんとこの鍬、というよりは『罠士の扱う鍬』、俺の手となってくれるのだ。

言い換えよう。


この鍬の刃が『地面』に触れて『罠設置』スキルを発動すれば、そこに罠が設置される。


つまり地面に手を触れる必要が無い。

これは革命的だ。

地雷はグレネードがあるんだが、他の三種はそうじゃない。

いちいち敵を前に屈むのは隙があるし、腰に来る(感覚的な話)。

農家と違い、俺達罠士は罠をその鍬で植えるのだ。

この鍬による罠設置を、以下『鍬設置』とする。


と、いうことで。

罠士の攻撃パターンがまた一新された。


①『地雷グレネード』で先制攻撃。

②『鍬設置』で自分の前方に罠設置。

③掛かった敵に罠・もしくは鍬の振り下ろし

④-1片手で鍬を地面に引きずらせながら、再度『鍬設置』。その間に攻撃を回避、素手戦闘で頑張る。

④-2 ④-1とは別パターン。ひたすら鍬を振って攻撃。集中力を必要としないので、普段の狩りはこちらで良いだろう。

⑤ ④のループ。敵が素早いタイプなら鍬は捨てて、回避・素手攻撃に専念。


いや、本当に素晴らしい武器だった。

これはスコップの方も期待していいだろう。


罠士に栄光あれ!


以下検証。ややこいので頭にH……やっぱKで。落とし穴ホールと被ってしまうので。あとホットミルク。



『検証ナンバーK1』

武器、この場合鍬をインベントリから取り出した段階で『装備状態』となった。

その後、もう一本買った鍬を取り出して持とうとしたが、ダメだった。

鍬の二刀流は不可能らしい。


だがしかし、


『検証ナンバーK2』

『高速罠設置』、『同時罠設置』をそれぞれ鍬を持った状態で試したが無事発動。

ただし、同時罠設置は一方は『鍬設置』が可能だが、もう一方の手は地面に触れておく必要がある。

つまり、前方と自身の付近に罠がそれぞれ生成される事になるのだ。


『検証ナンバーK3』

鍬の振り方について。

コツは、力を入れすぎないこと。

刃の重さを利用すれば、自然と目標に到達してくれる。

両手で振ろうとせず、片手は添える程度に。

また今度、リンカに教わる事にする。

アイツならコレも上手く扱えそうだし。


『検証ナンバーK4』

鍬を振って、その刃が地面に突き刺さった状態で罠設置を行った場合。

『埋まった』状態で設置された。

その設置場所にて、手でちょっと押すぐらいじゃ発動しない。足で踏んで、中の罠に触れてようやく発動する。


地雷だと分かりやすくて、設置した地雷は、埋まって見えなくなった。

ようやく地雷っぽくなった気がする。

手で彫った場合も同じだが一応。各段に作業スピードは速まった。


『検証ナンバーK5』

とりあえず鍬で地面をひたすら掘ってみたところ、掘って5秒経つとすぐに元に戻ってしまった。

フィールド全部穴だらけ、そんな悪い事は出来ないらしい。


『検証ナンバーK6』

落とし穴を発動後、穴の中で鍬を振って突き刺そうとしたがはじき返された。

落とし穴は、やはり特殊な異空間を作っていると捉えるべきだろう。


『検証ナンバーK7』

鍬は投擲はしない方が良い。

当たらない(10敗)。


『検証ナンバーK8』

鍬で地雷に触れると発動した(5敗)。

やはり装備状態の武器もプレイヤー判定となるらしい。

鍬を振る時は気を付けよう。


『検証ナンバーK9』

鍬を手から離して地面に落とすと、装備状態が解除された。


『検証ナンバーK10』

鍬を手から離さず地面に置き、その後両足で挟んで手から離してみると、装備状態が解除されなかった。足裏で抑えてみても同じ結果。

要は触れていればOKということだ。


『検証ナンバーK11』

K10の状態で罠設置を発動した場合、『鍬設置』が成功。


『検証ナンバーK12』

K11から、その気になれば地面に寝転び、さらに両足先で鍬を触れながら『鍬設置』を行えば、自身の頭から3m近く離れた位置に罠を設置出来る事が分かった。


見た目? そんなもの気にしてはならない。

むしろ油断させられてアドバンテージ。

罠士の『手』として、鍬は活躍してくれそうである。

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