革命
『ひっ!』
『テメェ何モンだぁ!!』
『出てけ!!』
あの見えたドーム状の建物の中には、始まりの街の非戦闘フィールドの様にNPC達が一杯居た。
美しい光景だった。
中は緑のカーテンが日光を丁度良いぐらいに遮断し、中にはランタンっぽい何かが照らしている。
幻想的、かつ人の手が感じられる暖かな風景。そして入った瞬間、NPCが表情変えて襲ってきた。
逃げた。
泣いた。
「はぁ……ま、仕方ないか」
罪ポイントの影響だろう。
ウッキウキで入ったらこれである。
心構えしてないとかなり傷付くよねコレ。
「えっと、闇市闇市……あそこか」
このデカいドーム状の建物から数10m。
マップを見ながら進んでいく。
そして、そのエリアに入れば――
《グリーンエルド・闇市》
「……悲しいよ俺は」
見えたのは、またも立派で巨大なドーム……じゃなかった。
ちょっと木の壁があるだけの野営地である。そしてそこにポツポツとテントが経っていた。恐らく中にNPCが居るんだろうけど。
寂しいキャンプ会場ですかココは?
☆
キャンプ場……いや間違えた、闇市。
その1つの『武器店』に入る。
顔に彫りがあるおっさんが一人。
俺の顔を見ると、さっきまでのNPCとは違い暖かな笑顔で迎えてくれた。
『いらっしゃい。見ない顔だね』
「どうもどうも」
《武器を見る》
「……どうせ何も装備出来ないんだけど」
未だ俺は素手だ。
ぶっちゃけ罠士が殴るのってどうなの?
普通弓とかでカッコ良く狩らない?
リンカみたいにさ。
「あ、でも結構種類増えてんな……」
片手剣とか、両手杖とかだけだったけど。
見れば――両手剣や大盾、鞭なんてものもある。
□
アイアンソード
1000G
※職業制限により装備不可
□
アイアングレートソード
※職業制限により装備不可
1000G
□
□
アイアンアックス
1000G
※職業制限により装備不可
□
□
アイアングレートアックス
1000G
※職業制限により装備不可
□
アイアンロッド
1000G
※職業制限により装備不可
□
アイアンスコップ
1000G
※目標ステータス不足により装備不可
□
アイアンホー
1000G
□
アイアンハンマー
1000G
※罠士:装備不可
□
アイアングレートハンマー
1000G
※罠士:装備不可
□
「……ん?」
俺の目、おかしくなったのかな。
これは幻想か?
それとも夢か?
「なあおっさん、ココの商品って嘘とか書いてないよな?」
『ああ、勿論。ルートは保証しないが』
「ありがとう、助かるよ」
怖い。
でも今は気にしない。
《アイアンスコップを購入しました》
《アイアンホーを購入しました》
《2000Gを消費しました》
「……」
□
【アイアンスコップ】
必要STR値10・DEX値10
※ステータス不足:装備不可
ATK+15
農士が主に扱う、土を掘る道具。
特定のスキルが強化される。
一応武器としても使用出来る。
レアリティ:1
製作者:NPC
□
【アイアンホー】
必要STR値10
ATK+10
農士が主に扱う、土を耕す道具。クワ。
特定のスキルが強化される。
一応武器としても使用出来る。
レアリティ:1
製作者:NPC
□
「っしゃああああうおおおおおおきたああああ!!」
街中でも構わない、俺は叫んだ。
ようやくだ。
やっと、武器を装備出来る!
《アイアンホーを装備しました》
「うおっ、結構デカいなコレ」
それは、現実でも見た事ある
身長ほどの木の棒の先に、長方形の鉄板が付いている。
斧に似ていて、刃部分が薄い鉄の板になった感じだ。
ちょっと棒長いけど。
「『ホー』って鍬だったんだな……ダサいけどまあ良いか」
ホーって何だよホーって。
ソード! とかハンマー! とか武器っぽい感じじゃない。
実際農作業道具だし。アイアンホー!
「ま、とりあえず使ってみよう」
☆
《グリーンスライム LEVEL20》
「――ッ、らあ!」
『ピギ』
「ッ……素手のがマシだわコレ!」
鍬というだけあって、とにかく扱いづらい。俺が農家だったら話は別だが平のサラリーマンだ。
片手でなんてもってのほか、両手でも満足に攻撃出来ない。
江戸時代、百姓一揆。
彼らは、鍬や竹槍を持って領主に突っ込んだ……と思いきや、闘う事なんてしなかったという。あくまで持ってるだけ。
そりゃそうだよな。『こんなの』で戦闘なんてどうかしてる。
「運営に一揆してやろう」
徒党組めないから諦めよう。
とにかく、この鍬については要検証だ。
見捨てるなんて選択肢は無い。
「……で、スコップか」
□
【アイアンスコップ】
必要STR値10・DEX値10
※ステータス不足:装備不可
ATK+15
農士が主に扱う、土を掘る道具。
特定のスキルが強化される。
一応武器としても使用出来る。
レアリティ:1
製作者:NPC
□
STRは足りてる。
だが、DEXが足りない。あと2。
他のソードとか見たら分かるんだが、大分ステータスの要求値は低い。
しかしながら、DEXにはほとんど振ってなかった俺だ。足りなかった、残念。
次はステータス、DEXに振ろう。
「地雷グレネードの為だ。一石二鳥」
さっきみたいに大樹霊とかデカい相手なら良いんだが、小さい……それこそ動きも早い、ノーマルビットみたいな奴はDEXがいる。
DEXとか全然変わらないだろ……そう思ってたんだが、案外違いはあるらしい。
何で分かるかと言えば――
《――「DEXは結構デカいぜ。狙いを付けるのが早くなったし、精度も上がってる」――》
あの『最強無敵! 天才少女リンカさん』が言うぐらいだ。
戦闘において彼女の感覚は、間違いないと言って良いだろう。クソガキだけど。
「今度アドバイス貰おう……じゃ、コイツの為に頑張るか」
レベル上げは置いといて。
手に持つ鍬を撫で、俺はグリーンスライムに向かっていった。
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