『地雷グレネード』
「……ふう」
闇市で検証してたらPKペナルティもゼロに。それからは喫茶店も行ったけど、一杯の珈琲も、お冷すらも飲めずに終わった。爆発したからね。
周囲の目線が痛かったから逃げました。
ちなみにペナルティは発生せず。
代わりに珈琲代300G(お冷はタダ)は消えたけど……おかげで凄いモノが出来たよ。
HPポーションに念のためMPポーション。
そして大量に買い込んだ『それ』をインベントリに入れて、いざ出発!
まずは準備運動からだな。
☆
《アーマーウルフ LEVEL15》
『ガウッ――』
「『アックスキック』」
『ガウ……』
突進してきた銀色のオオカミの頭に、カウンターで素手戦闘スキルで得た武技、『アックスキック』を喰らわせる。
かかと落とし……英語だとそう言うらしい、知らなかった。
《経験値を取得しました》
思いの他レベル20ってのはデカくて、思っているより苦戦しなかったな。
例えばイノシシみたいなモンスター、『ワイルドデグ』とかは落とし穴の格好の餌食。麻痺罠もよく効いて封殺出来た。
スライムとか、ノーマルビットとかはもう楽勝。
ま、そんな感じで色んなモンスターを相手にする事30分ほど。
大分身体も暖まった……もう良いだろう。
いざ行かん!
《ここより先に進みますと、ボスフィールドに移動します》
《よろしいですか?》
「よろしい」
呟きながら前進。
どんどんと、景色が暗くなっていく。
草原なんてもはや消えた。
今俺が歩いているのは、例えるなら夜の樹海だ。
「虫居なくて良かった」
その鬱陶しい緑を掻き分けながら進んでいくと――
《
『――――』
「……アイツがボスか」
開けた場所に出たと思えば、そこに鎮座するのは巨大な木だった。
そしてよく見ると、その木の枝や幹が脈打つ様にドクンと動く。
植物なのか動物なのか。
『――――』
普通のモンスターなら顔とかあると思うんだが、コイツにはソレがない。
ただ、巨大な『木』としてその空間に存在しており――それがまた、気味悪かった。
「攻撃して良いんだよな、アレ」
システム的に言えば、そのレベル表記からしっかりモンスターだ。
しかし今の風景を客観的に見た時、悪者は俺じゃないのか?
「環境破壊は趣味じゃないが……」
仕方ない、先に進む為だ。
俺は早速――例のアレを2つ取り出す。
□
《アイテム説明:空瓶》
素材アイテム。
中に製作したポーションや解毒薬などを入れ、使用する事が出来るアイテム。
□
サイズで言えば、缶コーヒーより少し小さいぐらいのその瓶。
飲み口には蓋があり、それを開けて中のポーションなりを飲む事が出来る。生産職はこれに作った液体を入れるんだろうな。
ま、今は何も入ってないけど。
俺は空き瓶の蓋を取り、手の平の中央に飲み口をくっつける。
「『罠設置』」
《地雷を設置しました》
「……いつか修正されるかもな、コレは」
呟く俺の手からは地雷が当然の様に生成。
そしてその地雷は、瓶の中へとコツンと入る。蓋を閉める。
後は俺がいくらコイツを触っても爆発しないし、防具のポケットの中にすら入り込む。
当然普通の地雷なら即ボカンだ。
しかしこの瓶が外界との遮断を行ってくれるので、コイツが『割れない限り』は地雷は爆発しない。
何が言いたいかといえば、コレを敵に投げて瓶を割り、出てきた地雷が敵に接触、『ボカン』。
スライムみたいな柔らかいモンスターの場合は、直接じゃなく地面に放れば良い。ダメージは少し落ちるけど。
……『地雷グレネード』、これこそ俺が見つけた、地雷の有効活用方法だ。
☆
「じゃ、早速行ってみるか――!」
その場で色々準備して。
その手に持つ地雷グレネードを、10m程先に居る大樹霊に投げた。
『――――!』
《地雷が発動しました》
ど真ん中、樹皮にそれは到達。
パリン、ボカンッと音が鳴り――大樹霊のHPを一気に2%ちょっと削った。
……うん、やっぱ強いわコレ。
今までは、近付いて素手戦闘でちょこちょこ削る、隙があれば高速罠設置……そんな攻撃しか出来なかった。
しかしこれは『遠距離攻撃』。安全圏から攻撃できる。
しかも補充も簡単。空瓶さえあれば何度も出来る。
いちいち地面に触れなくて良いのも大きい。
さらにこの空瓶、素材アイテムだからかインベントリ内に100個までスタック出来る……さらにさらにお値段一個20G。非の打ち所がないね。
罠士のメインウェポンとしてこれから活躍してもらおう!
『――――』
「ッ!」
流石にされるがままでは無かった。
その大樹霊は巨大な枝をしならせ――1mぐらいはある葉っぱを一枚飛ばしてくる。
「流石に避けれるな……『罠設置』」
《地雷を設置しました》
防具のポケットに詰め込んだ空瓶を1つ手に取り、地雷グレネード作製。
『――――』
「――余裕余裕……とッ!!」
今度は丸太みたいなのが飛んで来たが、コレだけアイツと距離が離れていたら避けるのは容易だ。
そのまま投擲!
《地雷が発動しました》
「よし」
既に大樹霊のHPは95%。
この感じで削っていこう!
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