『落とし穴には、無限の可能性が広がっている』



「ッ――!!」


飛び起きる。

現実帰還、あのログアウトのタイミングは、狙われていたかと思うほどに綺麗で。


「濃い一日だったな」


頭を覆う、フルフェイスヘルメットのような機械……『ギアセット』を脱いでベッドに再度寝転がる。


思えば色んな事があった。

これが全て本当に自分の身に起こった事なのだとは、未だに整理が付かない。


ログイン。

アギトとの対人戦。

リンカ、アオイとの出会い。

脱獄。

そして飛行。

思い出すだけでも濃い時間だった。

ふわふわと現実味がないが、やりたい事はしっかりと決まっている。


時刻を見れば朝の4時。

出勤まではあと3時間ある――まとめよう。

あの証記録表はスクショを取って、パソコン、スマホやらで見られる様にしておいた。


掲示板見れるんだから、その辺の機能もしっかりシステムに付いている。

何ならSNSにそのまま動画を上げられる、配信もすぐに出来るらしい。凄いね。

やる気ないけど。トゥイッターなんて5年ぐらいまともに動かしてないわ。


「……明日は何をしようか」


クソみたいな現実。

退屈な仕事が待つこの世界……睡眠時間なんて、2時間で十分だ。

今はこれまでの『FL』をもう一度見つめ直したい。

もっと――もっと、知りたい。

もっと色々な発見があるはずだ。


そう。

俺は今日、確信した。



『落とし穴には、無限の可能性が広がっている』。















▽作者あとがき


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