第9話

弁護士事務所のような所に連れて行かれ

個室に通された。


上司には


「くれぐれも失礼のないように」


と念を押された。


しばらく待ち相手方が到着した


彼氏と彼氏の両親

女と女の両親

そして弁解士のような女性が入ってきた。


「この度は

うちの社員が大変ご迷惑をお掛けしまして

申し訳ございませんでした。」


と90°に頭を下げて謝っていた。


「お前も謝らんか!!!」


と無理矢理

男の頭を一緒に下げさせた。


「今更謝られても、

すでに終わった事ですので。

今日は状況整理と

今後の事についてのお話し合いというう事で。」


ほぼ絶望的だった。


そこからは淡々と弁護士が進めていった。


何も話させてもらえず

女の方を見ると

頬が腫れ

目も腫れ上がっていた。


女と両親も只々下を向くだけだった。


ようやく話す機会を与えられ


「ホテルには入ったが

何もしていない。

誘ったのもそっちの女の方だ!

しかも婚約していたなんて知らなかった!

だから俺は何も悪くない!!!」


この状況でも男は

自分の保身にはしった。


上司が顔を真っ赤にして


「いい加減にしろ!!!」


と怒鳴った。


すると


「ホテルには入ったが何もしていない。

あなただったら信じますか?

あなたの彼女が別の男と

ラブホテルから出てきて

彼女にそんな事を言われて

信じれる自信はありますか?」


彼氏がそう言った。


「それは…」


応えられなかった


「怪しいと思って興信所の方々に

お願いしていたので証拠もあります。

ホテルに入ったのは

あの日が初めてかもしれません。

それでも

手を繋いで歩いている写真や

キスをしている写真を見た後に

ホテルから出てきて何もしていない。

僕は信じられません。

写真を見て何度も泣きました。

でも、まだ気が付いてくれる。

こんな事はやめよ。

そう思って貰えると信じていました。

彼女とは小さい時からの幼馴染なので。

でも裏切られました。

僕はもう信じません。

あなたの事も赦せません。

彼氏がいる事を始めから知っていたようですし

結婚を約束している事も言ったと聞いています。

あなたが僕を訴えようとかまいません。

僕は捕まってもかまいませんから。

あなたのお陰で立ち向かう勇気をに気付きました。

だからあなたが訴えるなら

徹底的に戦います。」


結婚をする予定だと

言っていた事も思い出したが

関係ないと思い忘れていた。


何も言い返せない。

当たり前だった。

その通りだと思ってしまった。


下を向き項垂れるしかなかった。


女の啜り泣く声だけが響いた。


「御社の方に連絡させて頂いたのは

興信所の方に

ズル賢い男だと聞いていたので

逃げられない為の保険として、でしたので

今まで通りのお付き合いという事で。」


彼氏の父が話した。

社長のようで

上司は


「ありがとうございます

ありがとうございます。」


と何度も頭を下げていた。


そのまま話し合いは終了して

後日慰謝料の話し合いとなった。


その日の帰り道、上司は何も話さなかった。


タクシーから降りて自宅へ戻った。


次の日も有給を使い休んだ。


夕方連絡がきて

話し合いは明日でと言われ

そのまま寝る事にした。


今日も有給を使い話し合いへと向かった。


今日は弁護士だけだったが


精神的苦痛や結納、結婚式の費用など

500万で請求された。


「そんなの払えない!」


と言ったが


「では裁判で。」


と言われ

減額だけでもとお願いした。


鼻の事もあったので

相殺200万の減額に落ち着きい

結局300万になった。


「そちらは被害届を出されますか?」


と聞かれた。


「もし被害届をお出しになっても構いません。

依頼人は、捕まっても構わないと

仰っていますので、

こちらとしては、徹底的に戦いますが、

被害届けを提出される場合は、

相殺の200万を慰謝料の方に

上乗せさせて頂くだけですので。」


とまで言われたら何も言えない。


そのままサインだけしてその場を後にした。



弁解士は最後に


「あの方はこのまま気付かないんでしょうかね…」


と独言た。






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