第10話

それからの日々は

憂鬱なものとなった。


処分がくだされ3か月の減給となり

出勤すれば冷ややかな目で見られ

仕事も今までのように

上手くはいかず

全て悪い方向へと向かって行った。


元々出来る男で通っていた男なだけに

プライドが更に傷付いた。


元々が普通のポテンシャルだった為

仕事は最低限こなせてしまうが

それが周りの悪意を引き寄せた。


「最初から普通に仕事していればいいのに…」

「人の手柄まで欲しいもんかね…」


などと聞こえる声で噂される。


この時も仕事が出来ない男になった方が

変われたかもしれない。


中途半端に普通だった為

プライドだけが残ってしまった。


毎日他人の悪意に晒されて

ストレスばかりが募っていく。


慰謝料も払ってしまった為

仕事も簡単には辞められない。


鼻もようやく治り始めたが

やはり歪んでいた。


元がイケメンだった為

一気にイケメンじゃなく見えてしまう。


イケメンも美人も元の点数が高くなってしまう為

ちょっと悪くなるだけで

減点法へと変わってしまう。

あいる意味で可愛そうかもしれない。


逆に普通で有れば

良くなれば加点法になる。


男はイケメンから

普通に戻っただけかもしれないが

仕事などの印象も合いなって

更に悪く見えてしまう。


一向に彼女とも連絡が取れず

行方もわからない。


実家に帰っているとは思っていたが

今の状況で彼女の実家に行っても

彼女の両親に鉢合わせする可能性が高い。


自分の立場を

これ以上下げたくない気持ちが邪魔をして

実家までは訪ねられずにいた。


本当に情けない男である。


それでも日々は進んで行く。


ストレスは溜まる一方で

何もいい方向には進まず

とうとう円毛脱毛まで出来てしまった。


更に男の家系が薄毛家系であった為

20代にしておでこまで上がり始め

一気にイケメンでは無くなった。


病院で治療するにも月1万から2万を払うのは

今の男には厳しかった。


もうプライドしか残っていなかった。



それからの男はストレスを発散するのに

ギャンブルにハマった。


初めて買った馬券が当たってしまったのだ。


所詮、ビギナーズラックってやつだ。


そこからどんどんハマっていったが

向こうも商売

簡単に勝てるわけがない。


商売なり立つように

勝たせる割合より

負ける割合の方が高くなっているのだ。


貯金もそこをつき始め

いよいよ焦り始めたが

もう遅い

全てが遅すぎたなのだ。


会社ではもう出世は見込めない。

大した取り柄もなかったので

転職しても変わらない。

口が上手かったのは

今までで

余裕がなくなった今は

嫌味しか出ず

人から避けられる始末

営業職には到底向かない。


彼女とも一切連絡も付かず

会って弁解も出来ない


そんな日が続いて行った。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る