第15話 ゲーム二日目②
まずトイレに備え付けられた洗面台に水を張る。そして、晴香の頭を掴んで水の中に入れる。水に入れるのは20秒ほど。そして10秒の休憩。これでワンセット。これをひたすら繰り返す。
「がぼがぼが!! ばがだあがばかばあがば!!!」
水の中で息が出来ず、晴香はもがき苦しんでいる。
水を使うことのメリットはなんと言っても外傷が残らないことだ。加えて特別な道具を使わない。水責めは今の状況に最も適している。
「たすけて……。さからわないから、なんでもするから。だからこんなことやめて。もうくるしいのはいやなの、だからおね
何か喋っているが、俺は晴香の頭を掴み容赦なく水に沈める。
「がばごぼ……!! ぼごがば……!!!」
徹底的にこいつを壊す。壊して壊して壊して俺の人形に作り替える。そのためにもトラウマレベルでこいつに苦痛と恐怖を刷り込んでいく。
「さあ、まだまだ続けるぞ。いつまで保つかな」
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現時刻、およそ14時。
水責めは終わり、俺は今硬いベッドに腰掛けていた。一方の晴香は相変わらず全裸で床に倒れている。呼吸をして肩が小さく揺れているから一応生きている。まあ、死なないように調節して水遊びしたんだが。
「さて、もうあと一時間しかないな。そろそろお前のノルマを達成してやろう。ノルマはなんだ?」
「………」
返事がない。
無視しているわけではないのだろう。いや、たぶん無視などしたくても出来ないはずだ。おそらく疲れ果てて返事をする余裕がないのだろう。そんなことこちらに関係はないがな。
「オイッ!! 俺が訊いてんだろ。返事くらいしろやっ!!!」
俺は晴香の髪を掴み上げる。
見上げた顔は汗と涙と鼻水と水責めの水でぐしょくしょだった。
「今日のノルマはなんだ?」
凍てつくような声で俺はもう一度訊く。やつに恐怖を与えるために。
「……の…ね」
小さく唇が動いているが、何と言ったのか聞き取れない。
「はっきり言え」
「………。犬の真似。犬の真似です」
「は? 犬の真似? 今更そんな易しいノルマなわけないだろ。もっと詳しく言え。どうせただの犬の真似じゃねーんだろ?」
四つん這いでワンと言えばノルマクリアなわけがない。さてさて。どんな条件が足されるのか。
「……全裸になって、仰向けでワンと『貴族』に吠えれば条件達成です」
なかなか運営も楽しいことを考えるな。でもそれなら問題はないな。
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