第13話 ゲーム一日目④

 「全裸で土下座……!? そんなことできるわけ……」

「できないなら別に構わない。ただお前が死ぬだけだ。俺は困らない」

「っ……!!」

 さて、一度心は折れた。あとは破片も残さないくらい折れた心を徹底的に砕く。それこそ二度と俺に逆らわないくらいに。

「さてどうする? あともう二〇分もないぞ? 決断は早い方がいいぞ。なにせ、全裸で土下座してその後に俺を殴らなきゃならないからなア。二〇分で足りるといいな!?」

 這いつくばり朝水を見下ろして見下して。俺はプレッシャーを与え続ける。結果は見えている。なら無駄な足掻きはやめろ朝水。もうお前にはプライドなんか残ってないだろ?

 時が進む。

 現在14時48分。タイムリミットの15時まであと16分。

「……わかったわよ。やるわよ、全裸で土下座してやるわよッ……!!!」

 そう言い、さっきまで汗と涙と鼻水でぐしょぐしょにしていた顔を制服の上着の袖で拭き取る。顔は火が出るほど赤くしている。

 そして制服を脱いでいく。上着、スカート、ブラウス、キャミソールを脱いでいく。不覚にもその様子に見惚れてしまった。

 パンツとブラのみ。

 そこで動きが止まる。

「はーやーく! はーやーく! ほら、時間ないぞー。これから土下座と俺を殴るのが残ってるんだか。ほら、い・そ・げ! い・そ・げ!! さあ! さあ!! さあ!!」

 早く壊れちまえ。きっと、下着を脱いで土下座したとき、こいつは完全に壊れる。そうすればあと二日かけて俺の言いなり人形に作り替える。

「はーやーくー! はーやーくー!! ただいま、14時52分。あと8分しかないよー。ほら、早くしないと死んじゃうよー」

 急かす。急かす。急かす。

 万が一このままタイムオーバーになんてなったらこいつで遊べなくなる。

 だから急かす。

 そして。

 そして。

 そして。

 朝水がブラジャーに手をかける。

 朝水がパンツに手をかける。

 ……これはやばいな。こいつ、顔とスタイルはいいから色々たまる。だが、我慢だ。まだだ。まだそのときじゃない。今はこいつの心を砕く。

 床に金髪が広がる。

 透き通るような白い背中を惜しげもなく晒す。

「よし、じゃあこう言え。『私は姫神妃君様の所有物になります。もう二度と姫神様には逆らいません。絶対服従します。だから、どうかゴミ以下の私の願いを聞き入れてください』。はい、復唱!!」

 心に、俺に逆らえないという認識を刷り込む。自分の口から出た言葉は高い束縛性と暗示性を発揮する。

「私は姫神妃君様の所有物になります。もう二度と姫神様には逆らいません。絶対服従します。だから、どうかゴミ以下の私の願いを聞き入れてください」


 

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