2ndステージ 貴族と奴隷
第8話 復讐の狼煙
「姫神くんの治療をしてちょうだい」
『いいよー、夜火ちゃん。でも「治療」するのにも「コイン」はかかるからねー。怪我の程度にもよるけど、姫神くんのその怪我なら「中傷」だから、コイン10枚かにゃー』
「いいわよ。払うわ。このタブレットで支払い手続きをすればいいのよね」
そう言って夜火がタブレットを操作すると、教室の前方扉からクマの着ぐるみを着た人たちが二人現れた。うち一人の手には黒いアタッシュケースが握られている。
床に倒れている僕にぬいぐるみたちは近き、その黒いアタッシュケースから何やら赤色の液体が入れられた注射器のようなものを取り出す。そして得体の知れないそいつを躊躇なく僕の右腕に注入する!
「は? えっ、ちょ、は? え?」
状況が飲み込めない。
だが、理解不能な状況は続く。
僕の身体が急激に熱を帯びる。かと思えば急に寒気が全身を包む。
ジュワーと肉が焼ける様な音が耳に届いた。見れば僕の身体の傷口が急速に閉じている。まるで早送りのようにたちまち怪我が治る。
時間にして三分ほど。それだけの時間で僕の身体の傷は全回復した。
『「回復アイテム・中級」。切り傷、骨折くらいなら簡単に治せちゃう超便利アイテム。あっ、「回復アイテム・特級」なら瀕死でも全回復させられるヨー。まあ、コイン1000枚かかるけどね♡』
これが「アイテム」の力。規格外もいいところだ。
『さてさて。後は君らで仲良くコインの使い道でも決めてくれ。レイユちゃんはここら辺で失礼するニャー。あとはホワイトお願いー』
自由気ままなレイユは、画面から消えた。
————————————————————
その後、夜火はクラスの同意を得た上で食料と水をコインで購入した。
それから、クラスで話し合いもう一つ重大なことが決定された。
————————————————————
『みんな、おっはよー。今日はいい天気だよー、ってそこじゃ天気なんて関係ないかー。さてさて、今日から一週間は「課題」もないし、自由にしてもらっていいヨー。娯楽がないなら、それも「コイン」で買えるからねー』
翌日。
いつも通り、朝に教室でレイユによるミーティングが行われていた。
「レイユさん、一つ提案をしてもいいかしら?」
夜火がすっと手を挙げ発言する。
『にゃににゃに?』
「『課題』と『課題』の間の一週間の猶予をなくして、次の『課題』を今日、やりましょう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます