第3話 されどゲームは動き出す
第一課題『人気投票』
ルール
①クラスの中から『一番人気のある人』と『一番人気のない人』を一人ずつ決める
②『一番人気のある人』は『リーダー』となり、『一番人気のない人』にはペナルティが与えられる
『リーダー』……『コイン』の管理・使用権限を持つ人
『「リーダー」には今後の「課題」でも重要な役割が与えられからちゃんと考えた方がいいよ〜。じゃあ、「課題」完了の期限は三日。それを過ぎればポイントを減らしちゃうゾ。残りの詳しい話は、現場の人にお任せしちゃう♡』
そう言いたいことだけ言ったレイユはホワイトボードから消える。
勝手すぎる。
だが、レイユが消えたことで、糸が切れたかのようにクラスメイトの大半は椅子から転げ落ちうずくまる。
どうやらさっきクラスメイトが首を切断されたのが余程ショッキングだったらしい。だが、レイユが怖くて怖がることすらできなかったのだろう。その反動が今来ている。
クラスメイトは大半は青い顔をしているか、吐瀉物を撒き散らかすかのどちらかだ。
そういえば、この死体二体はどうするのだろうか。まさか、僕たちが自分で処理しないと……。
そこで僕の思考は断ち切られる。
白い教室の前方から、クマやイヌ、ネコのぬいぐるみを着た人物が数名ぞろぞろとやって来た。キャスターのついた大の大人が収まるくらいの巨大なゴミ箱と、フラスコやビーカーに入れられているカラフルな液体たち。そしてモップや雑巾などの掃除用具。
新たな人物たちの乱入に戸惑うクラスメイトたちをよそに、ぬいぐるみたちは死体二つを巨大なゴミ箱に雑に押し込み、床の血溜まりや、壁に跳ねた血液を薬品や掃除用具を使い、慣れた手つきで処理していく。ついでに吐瀉物も片す。
およそ一〇分後。
そして仕事を完璧に終えたぬいぐるみたちは、ゴミ箱と薬品、掃除用具を持って部屋を後にした。
そして彼らと入れ違いに、今度はウサギのぬいぐるみが教室に入ってくる。
そのウサギはさっきの清掃員たちよりぬいぐるみに手が込んでいた。
清掃員たちは装飾品や飾りの服はなかったのに対し、そのウサギは小さな黒いシルクハットに、片眼鏡をした執事服姿であった。
『わたくし、皆さまのお世話係兼現場監督をレイユ様より仰せつかりました「ホワイト」と申します。早速ですが、皆さまにはこれからこの教室を出て、住居スペースに移動していただきます』
男の柔らかな声だった。
だが、教室には静寂が訪れる。
クラスメイトたちは、ホワイトと名乗るぬいぐるみについて行くことに躊躇っている。
だが、そうもしていられない。くずくずしていたら、また誰かの首が物理的に飛ぶかもしれない。
クラスメイトたちは渋々ホワイトの指示に従い教室を後にする。もちろん僕もそのあとに続いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます