とある戦闘機乗りが出撃し、敵機と戦闘する物語。
出来事としてはおよそ上記の通りの、とてもシンプルな掌編です。
ただし特徴的なのが主人公の独白。
というか、孤独な内心の吐露をそのまま綴ったかのような本文そのもの。
戦争についての主人公自身の私見というか、何かの信条や信念に深く絡んだ主人公自身の考え。
どこか詩のようでもあり、また見方を変えれば演説のようにも見える、その長い思惟の様子が大変に独特でした。
格闘戦の最中、敵パイロットの命を奪うことについて思いを馳せているようでいて、しかしそれさえもどこかうつろなまま、戦争という大状況へと接続されてゆく感覚。
独特の雰囲気を感じる物語でした。