認知症を患った祖母との、きっと最後になるであろう日々を過ごす青年のお話。
現代もののヒューマンドラマです。
いろんなことを思い出せなくなったり、また肉体的にもどんどん痩せ衰えていく、大好きなおばあちゃん。
こういうお話は本当につらくって泣いちゃう……。
高齢化社会の現代、普通に現実として存在している不安や問題を孕んだお話であり、人ごとでなくソワソワしながら読みました。
つらい現実のお話ではある一方で、しかしあんまりえぐい介護地獄みたいなものまでは出てこなかったのが救い。
切なさはありながらも、総体としてはサラリと綺麗な物語で、彼らのドラマを飲み込みやすいのが嬉しいです。
あんまりしんどいと読むのも苦しくなっちゃったりするけど、その辺は安心して読めるお話。
単に祖母との思い出ばかりでなく、何か父との軋轢などもあり、いろいろと複雑な親戚関係も魅力のひとつ。
決して良い関係ばかりでなく、家族であるが故のままならなさのようなものも含んだ、切ないヒューマンドラマでした。