第6話

   

 山本さんに言われた通り、タイミングは二人の先輩バイトに任せることにした。

 しかし彼らは、あまり上手な脅かし役ではなかったらしい。

 二段構えで脅かすどころか、むしろ笑われることの方が多かったのだ。


「クスクス……。狼男と、こっちはミイラ男かな?」

「なんだか可愛らしいわね」

 お客さんが完全にリラックスしているところに、私が出ていくと、

「きゃあっ!?」

「わっ、びっくりした……」

 不意を突く形になり、驚いてもらえる場合も確かにあった。

 しかし、

「出ると思ったぜ、吸血鬼!」

「狼男とくれば、吸血鬼とフランケンシュタインも定番だよなあ」

 予想的中という感じで、逆に喜ばれてしまう場合もある始末だった。


 ハイテク機械を用いたデジタルなお化け屋敷も、最近では多くなってきたのだろう。お化けに扮した人間が脅かすアナログな形式は、もはや時代遅れであり、効果も薄いのかもしれない。

「このお化け屋敷の企画会社、本当に大丈夫なのかな?」

 少し心配になった私は、ひつぎの中で、つい独り言を口にしてしまう。それでもアルバイト代のために、とにかく一日、頑張って働いて……。

   

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