第4話
お化け屋敷なんて、どこでも似たような雰囲気だろう。
スタッフ専用の裏口から入ったところは、薄暗い室内照明に照らされていた。古井戸を模したセットがあり、破れかけた障子が立てかけてある。
日本風お化けのエリアらしく、それっぽい格好のスタッフたちが待機していた。
「あら、そちらが新入りさん?」
白装束に長い黒髪、そして顔の一部が腫れている。典型的な幽霊姿の女性が声をかけてきて、ミイラ男の山本さんが対応したけれど、
「そうだ。名前は……」
「吸血鬼の春日恵です。よろしくお願いします」
彼が言い淀んだので、私の方で自己紹介する。どうやら山本さんは、私の名前をきちんと覚えていないらしい。
「ふふふ。女性スタッフが増えるのは嬉しいわ」
「持ち場は少し離れてるけど、私たちもよろしくね」
ろくろ首と唐傘お化けからも挨拶された。
わざわざ首を伸ばすギミックまで披露してくれたのは、ろくろ首の役だと示す意味だろう。作り物の胴体の上に、後ろから頭だけ乗せて動かしているに違いない。
それよりも、唐傘お化けの方が凄いと思った。傘にしては少し太めだけれど、それでも立派に『傘』に見えるコスチュームだ。中に入っているのは、よほどスレンダーな女性に違いない。
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