SIDE:杏樹

 見られた! 知られちゃった!

 ああもう、顔から火が出るってまさにこのこと!

 先輩の記憶をいじって、さっきのこと、なかったことにしたい!

 ……でも、先輩、馬鹿にしなかった。

 びっくりはしてたけど、でも、引いたりはしてなかった……よね? 多分だけど。 

 私、まともに先輩の顔とか見られなかったけど、軽蔑されたりはしてなかった、と思う。

 ううん、この場合、思いたいって言ったほうがいいのかな。

 女なのに、高校生なのに、戦隊ヒーローが好きってことに対して、すごく好きな気持ちが伝わってきたって言ってくれた……。

 せ、先輩になら、話してもいいかな。

 先輩だったら、聞いてくれるかも。私の夢、のこと。

 でもどうやって? 脈絡もなく、いきなり語る?

 無理無理! そんな度胸、ないよ。

 それじゃあ、実際に見てもらう? 無理! それはもっと無理!

 はぁ、もう、脇が甘かったなぁ。

 先輩と一緒にいて、気が緩んじゃってるのかな。


 ……なんか、私、最近、先輩のことばっかり考えてる気が、する。

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