第17話 実は、オーディションの書類審査の結果が、きていたらしいです。フツーのJKでも、アイドルになれるんじゃないのかな?っていう、期待感。

 「…お母さん?」

 「何?」

 「私って、アイドルに、なりたいのかな?」

 「しっかりしなさいよ」

 母子のつながりは、気持ちの、かけひき。これも、ゲームなのか?

 「あのね、レイカ?」

 「何、お母さん?」

 「内緒にしておこうと、思ったんだけれど…」

 「え、何?」

 「悪い力に押されて、内緒にできそうにありません」

 「え、何?」

 「実は、きました」

 「え?」

 「最終オーディションの、通知」

 「きてたの?」

 「これです」

 母親は、仕方なしにといった表情で、送られてきた通知を見せてくれた。

 知らない人に、通知表を見られているような気持ち。

 「レイカ様へ。最終オーディションに進まれることを、お知らせいたします。今後も、時間がかかると思いますが、よろしくお願いします。時間は、たくさん、必要なんです。あなたを、アイドルにするために!」

 母親と、顔を、見合わせた。

 「…お母さん?一次通過、かな?」

 「すごいわね。この、脅迫状」

 こら…。

 友達に、話してあげた。

 「今、電話して、良い?」

 「…って言いながら、すでに、してるじゃん。なんて、冗談だよ」

 「あはは」

 「で、どした?レイカ?」

 「お母…母親にさ」

 「うん」

 「わかんないことだらけを、操作されて、吹き込まれてさ」

 「難しいねえ」

 「難しいよ」

 「そうだ、レイカ?」

 「うん」

 「レイカママが、アイドルの応募をしたって、言っていたでしょ?」

 「うん。勝手にね」

 「だったよね?」

 「だから、その話だよ?」

 「それ、どうなった?」

 「最終オーディションに、進んじゃった」

 「まじ?可能性、なくない?」

 「そっかな?」

 別の友達にも、連絡。

 3人、近所のコンビニで、会うことに。

 「あ、レイカ!」

 「こっち、こっち!」

 「きたよ?」

 「ねえ、レイカ?」

 「アイドルに、なれそう?」

 「わかんない」

 そりゃ…。

 誰にも、わかりません。




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