第11話 あなたは、オンライン面接事件を知っていますか?どう、思いますか?ただ…。この子たちのしたことを悪く言うのって、難しいんじゃないか。

 「君たち?オンライン就職での練習を、はじめましょう!」

 誰が、言いはじめた?

 「今なら、学校にいって努力しなくても、就職できます。就職氷河期世代の子たちの、立場は、ないですね…。とにかく!皆さんが高校を卒業するころには、このウイルスの社会は、終わっていると思います。ですから、今から、練習しましょう」

 ビミョーなウソ、ばかり。

 オンライン就職といえば、こんな、オンライン面接のルールがあった。

 「明るく、振るまおう」

 「強い照明の中で、会話しよう」

 「ジェスチャーをしても良いけれど、あまり、大きくなりすぎないように」

 「カンペを、用意しよう」

 「面接官をだませれば、勝ち」

 「面接官は、バブルさんと呼ばれる人が、多いと思います。彼らのコントロールに、つとめてください」

 「全集中の呼吸で!」

 ルール、ルール。

 決まり、決まり。

 バブルのじゃまおばさんたちの、ように。

 そうしたら、ついに…。

 これ、実際に起きた事件です!

 面接担当者、1人。学生、3人。オンラインの、集団面接。

 「お疲れさまでした。本日の面接は、終了といたします」

 「ありがとうございました」

 面接者に、学生たちが、一礼。

 ここで、学生たちは、速やかに退出すべきところ。

 けれど…。

 学生たちは、数分間、誰も、画面から退出していかなかったという。

 「なぜ、早く退出しなかったか?だって、決まりだから」

 「印象、悪くしたくないもん」

 「そうそ」

 「決まり、決まり」

 うわ。

 学生たちの、病。

 お母さん、いや、母親とTV番組を見ていたら、キャスターたちが肩を落としていた。

 「幼稚」

 「幼稚」

 「就活の、ゲーム化」

 「シューショクヒョーガ期世代の子たちのみじめさ、半端ないですね」

 どうすれば、こんな状況を救えるのかについては、キャスターたちには、言えなかったようで。






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