第10話 それは、違う。ちょっと、違う。ビミョーに、違う。「今どきの子は、努力をしない」 そうなんだろうか?努力のしようが、ないのかもしれない。

 高校に入学したときのことを、思い出し。何だか、泣けてきた。

 あのときは、最高の幸せだったなあ。

 「合格だ。お母さん!やったよ!」

 「良かったね、レイカ!」

 高校生活は、期待に燃えていた。

 がんばって勉強して入学した、あこがれの高校。

 けど…。

 待っていた生活は…。

 予想外で…。

 今日、ついにきてしまった書類には、くつがえすことの無理っぽい字が、つまんなそうに、浮かんでいた。

 「退学願いを、受理いたしました」

 1年も、もたなかった。

 「ついに、この日が、きちゃったんだ…」

 母親に、すぐに、確認してもらった。

 キッチンの、片隅で…。

 母親が…。

 泣きはじめた。

 ごめんなさい。

 いくつもの期待が、がくがく、ぼろぼろ、ぐずぐすに、落ちてきた…。

 あの日…。

 高校の入学式を終えて、ホッとできたと思ったら…。

 「各自、教室へ戻ってください」

 「何?」

 「大切なお知らせが、あります!」

 クラス担任が言って、私も含めて、クラスメイトたちが、毒を吐いた。これが、いけなかったのかな?

 「…アホ教員の、病気?」

 「聞いてやるか」

 「チホーコームイン」

 「アタオカ」

 「私たちJKの服を脱がせて、動画配信しても、捕まらない」

 「コームインは、逮捕されない」

 「えちえち」

 「それ、リアルだし」

 クラス担任は、みじめな人形。

 「皆さん?…明日から、しばらく、休校にします」

 クラス中が、ざわついた。

 「休校?」

 「学校、ないの?」

 「何で?」

 クラス担任には、休講の理由が、はっきりとは、答えられず。

 学校の一斉休校が、はじまった。

 楽しみにしていた友人関係は、結局、中学校の延長でしかないような感じ。

 「新しい出会い」

 それって、誰のための言葉?

 「今どきの子は、努力をしないだって?」

 違うよ。

 努力のしようが、ないんだ。

 日常が、どんどん、変わっていった。





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