結果と真相
5分の休憩を挟んだ後、全クラスそれぞれ代表者がクラスとしての所見を述べた。
「他に何かある方はいらっしゃいますか?」
そう会場が尋ねられると、追加で発言したい旨を数人の生徒が示し、己の思いを述べた。そして、採決の時となった。水野が、
「それでは、採決を取ります。今後の我々の高校の未来のために皆様、今の自分の思いをぶつけてください。応援歌練習継続は赤、廃止は青のカードを掲げて下さい。それでは参ります!」
生徒たちが一斉にカードを上げた。高世は両手を合わせて祈っている。渡瀬は静かに瞑目している。たっぷりと10分ほど時間を経て、
「集計が終わりましたので、生徒会事務局長から結果を発表させていただきます。」
磯上がマイク前に立った。
「出席者総数1003人。3分の2以上で決定されます。」
言葉を切って、磯上は声を張り上げて言った。
「赤156人!青847人! よって天下高校 応援歌練習は廃止されることが承認されました!!」
会場が壊れるほどの拍手と共に採決は終わった。高世は嬉しさのあまり、吠えており、渡瀬はほっとして一息をついた。満面の笑みである。その時、
「ふざけるな!」
会場から怒号が飛び出した。教務主任立花である。
「お前ら、こんなことしていいと思ってんのか!この高校は潰れるぞ!ハッハッハ!!せいぜい残りの高校生活を楽しむんだな!」
「ご心配には及びませんよ、立花先生」
その時、渡瀬がマイク越しに言った。
「十川家のことについておっしゃているのであれば、もう大丈夫です」
「はっ?」
立花の目が点になった。渡瀬は全員に聞こえるよう力強くいった。
「実は先日私は十川家現当主十川元徳に会ってきました」
「何…?」
立花は今にもしおれそうだ。渡瀬は続ける。
「私が応援歌練習を変えるかもしれない旨を伝えると、十川さんは微笑んで言いました。『そうか…』と。その後、十川家の天下高校設立について話してくれました。」
生徒全員だけでなく教職員も耳を傾けている。
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